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チャップマンは余裕の表情で自室へと向かう（撮影・浅見桂子）

　【サンディエゴ（米カリフォルニア州）１３日（日本時間１４日）】目には目を、偽装には偽装を？　第２ラウンドの初戦で日本と対決するキューバが、早くも陽動作戦を仕掛けてきた。当初は１５日（日本時間１６日）の日本戦に１６４キロ左腕アルベルティン・チャップマン投手（２１）が先発する予定だったが、ここへ来て先発を変更させるプランが浮上。偽装バントなど奇襲や小技を駆使する戦略の日本代表に対して揺さぶりをかけてきた。

　世界屈指の実力だけでなく、クセ者としても知られるキューバが、日本戦を前に早くも情報戦を仕掛けてきた。前日までの段階では、国際大会の経験が少なく、秘密兵器と言われた左腕チャップマンを先発するプランが最有力だった。ところが、第２ラウンドの会場となるサンディエゴへ移動する段階で、今度は先発投手変更の可能性をにおわせ始めた。

　最速１６４キロの速球を武器とする２１歳左腕は、メジャー各球団が完全密着でマークする今大会の目玉。アマ選手だけのチーム構成とはいえ、世界一を目指すキューバにとっても、絶対的な軸となる存在だった。実際、第１ラウンドのオーストラリア戦（１０日）に先発し、４回３安打１失点７奪三振と底力を見せつけた。その一方で、オーストラリア戦は全米中にテレビ放映されたこともあり、ライバル各国が綿密な分析を開始。カムフラージュの意味も込めて、キューバ側が次の手を打つのも当然だった。

　１３日、キューバ球界関係者は「彼が投げるかどうかは、まだ分からない」と発言。中４日のローテーションが絶対条件でないことをほのめかした。当のチャップマンも「僕は韓国戦じゃないの」とけむに巻いた。８日の第１ラウンド初戦南アフリカ戦に先発し、６回２安打無失点に抑えた３７歳のベテラン右腕ベラの名前が浮上している。

　キューバのかく乱戦法は、今に始まったことではない。１０日の豪州戦では、試合前にスタメン表を交換した後、打順を変更。敗れたオーストラリア側が、試合後に猛反発した。国際大会の経験が豊富な米国ジョンソン監督にしても、過去の対戦でメンバー発表の直前まで、キューバ側が左右異なる投手をブルペンで投球練習させていた事実を披露。今大会は前日に予告先発が発表されるが、アクシデントでの変更の可能性など疑えばきりがない。

　日本にすれば、左腕キラー内川の起用をはじめ、相手の先発次第で打順に影響を及ぼすことは避けられない。チャップマン対策を進める一方で、事前の正確な情報収集も、決戦前の大事なカギになりそうだ。【四竈衛】

　［2009年3月15日15時5分　紙面から］

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アルベルティン・チャップマン

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