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地元仙台に戻った岩隈（中央）は、大勢の出迎えのファンに囲まれた

　楽天岩隈久志投手（２７）が、オープン戦最終戦となる２９日の中日戦（ナゴヤドーム）で、登板することが２６日、分かった。この日、仙台に凱旋（がいせん）し、約５００人が仙台駅で出迎えるフィーバーぶり。第２回ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）での活躍で、「時の人」になった。決勝戦前に登板希望を首脳陣に伝えており、日本ハムとの開幕戦（４月３日、札幌ドーム）に向け、最初で最後の調整登板に臨む。ダルビッシュ有投手（２２）との対決が濃厚。“陰のＭＶＰ”と称賛された男が、日本のエースの座をかけた戦いに向け再始動する。

　連覇の余韻より、新たな戦いへの意欲に包まれていた。１週間後に迫ったシーズン開幕に、岩隈は「気持ちを切り替えてやります」と、短く言い切った。久々に帰った仙台駅は報道陣のほか「岩隈凱旋（がいせん）」を聞きつけた通行人など約５００人が殺到。ＷＢＣフィーバーが巻き起こる中で、世界連覇の“陰のＭＶＰ”は、すでに楽天のエースに戻っていた。

　ライバルとの対決が、再び闘争心をかき立てる。開幕戦は、日本ハムのダルビッシュとの対決が有力。ＷＢＣではともに世界連覇を勝ち取った盟友だが、日本に戻れば最大のライバルであることに変わりはない。「開幕戦？　特に（ダルビッシュと）話はしていないですよ。とにかく楽しみにしています」とほほ笑んだ。野村監督は「燃え尽き症候群になっちゃうんじゃないの？」と心配したが、エース対決となれば再び燃えずにはいられない。

　競い合ったからこそ「時の人」になれた。昨季はダルビッシュと激しいタイトル争いを演じ、最終的には投手タイトル独占の快挙を達成。さらにはＷＢＣでの活躍を呼び込んだ。１度きりの直接対決では、ともに完投しながら０－１で惜敗。「日本のエースはダルビッシュ」のイメージは変わらなかった。それでもＷＢＣの好投で評価も急上昇し、肩を並べるところまで来た。ガチンコの開幕戦は日本のエースとなるためにも、避けて通れない戦いだ。

　仙台駅では家族の出迎えを受けた。「ホッとしました。ちょっとゆっくりしたいですね」とリラックスした表情を見せた。だが、休日はこの日限り。２７日には１カ月半ぶりにチームに合流する。サムライジャパンの一戦士から、チームの大黒柱へ。使命を背負った男が、再び動きだす。【小松正明】

　［2009年3月27日8時58分　紙面から］

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