女子ボクシング界に登場した楽しみな新星と言っていいだろう。

16日にエディオンアリーナ大阪第2競技場で、女子のタイトルマッチ3試合が行われた。メインはWBO女子アジアパシフィック・バンタム級王座決定戦で3戦3勝(2KO)無敗の新王者が誕生した。その名も赤林檎(あか・りんご、27=真正)。もちろん本名ではない。

「自分らしい、楽しめる試合ができた。これからもガンガンいくスタイルで派手にいけたら。世界を目指します」

この試合が24戦目とキャリア豊富な平安山裕子(35=平仲BS)と対戦。攻撃的なスタイルで序盤から圧倒。2回TKOで戴冠を果たした。

「赤林檎」につながる、そのキャリアがおもしろい。大阪・山田高ではサッカー部。対人でバチバチやれるフィールドプレーヤーを望んだが、GKに指名されて「おもしろくなくてやめました」。

追手門学院大で高校から取り組んでいた日本拳法へ本格転向。卒業後は本格的に格闘技にのめり込んだ。総合格闘技から立ち技のキックボクシングへ。リングネームは“地下格闘技”時代、まわりのおもしろいリングネームに負けじと友人が名付けてくれたという。

しかし、その由来は「分からないですね」。しいて言えば「赤いほお」という。本名は中井麻美(なかい・あさみ)だ。

ボクシング転向を決めて真正ジムに2年前、入門した。まだ総合格闘技の時代から、スパーリングでジムを訪れていた。「こんなわけの分からないやつも受け入れてくれた」と感動したことが決め手だった。

昨年4月にデビューを飾り、順調に進んできた。次戦は今夏にも計画される。真正ジムの山下正人会長も「ハートが強いわね」と期待し、チャンスがあれば早期の世界挑戦にも前向きだ。「今は蹴らなくていい。投げなくていい。充実しています」と笑顔を見せる生粋の格闘家が、まずは最初のベルトを手にした。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)