ボクシングの新たな興行形態の「暗」を示す事態となった。

英プロモート大手マッチルーム社や楽天チケットなどによるビッグイベント、賞金総額100万ドルのミドル級トーナメント「プライズファイター」の開催継続が消滅に近い、厳しい状況となった。

10月17日に同トーナメントの深町信治・総合イベントプロデューサー、準決勝進出を決めた日本同級王者国本陸(27)の所属する六島ジムの枝川孝会長(60)が都内で会見。準決勝以降の開催が見通しできない現状を明かした。

同トーナメントは楽天グループの楽天チケットが出資し、スペインを本拠地とするスポーツマネジメントのネバー・セイ・ネバー(NSN)社が事実上の主催者、そしてマッチルーム社が選手との契約やマッチメークを担当していた。

3社がパートナーシップ契約を3年間結び、年3回の興行開催を掲げていた。1回戦は大阪・吹田市で7月15日に実施。このまま、継続されないとなれば大会を取材した最初で最後の記者の1人となるが、実際に現場におもむいて驚いたのが会場の様子だった。

大会運営、選手、そしてマスコミ関係者以外、普通の「観客」が見当たらない。それもそうだろうと思った。大きな賞金を掲げた大規模なイベントにもかかわらず、事前の告知はほぼなし。直前で会見や計量の露出で興行を盛り上げるのが通例と理解していたが、それもなかった。

今後、訴訟問題に発展する可能性もあり、「善悪」の区別はすべきでないと理解している。それにしても賞金を含めた大会の規模に比べ、事前告知がないやり方は「なんでだろう?」の疑念は尽きない。

世界的に認められる一方、日本選手には壁が高い「ミドル級」の世界的トーナメントが実施された意義は深い。それが頓挫してしまった現実も重い。

今、日本においてもボクシング興行の形態は大きな変革期を迎えている。ミドル級トーナメントが今後開催されず、訴訟などの泥沼に陥るならば、それは負の事実。ただ言えることは、失敗は先への糧。前に進むことをやめてはいけない。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)