7日目から国技館の売店に新たな商品が加わった。阿武咲の錦絵。99年ぶりに3横綱2大関が休場する異常事態の今場所を盛り上げている若武者とあって「あまりにも多くのお客さんから聞かれるので」。相撲錦絵師の木下大門氏が急きょ、5時間かけて製作した。

 30年以上も錦絵をつくる木下氏が、場所中に急きょ製作したのは3度目のこと。「ざんばら髪の遠藤と、同じくざんばら髪の逸ノ城のとき以来です。今回はあまり相撲観戦に不慣れなご婦人まで求められてきたので一種の事件ですね」。

 今年4月の神奈川・藤沢市巡業で阿武咲の写真を撮った際には若き日の大横綱を思い出したという。「北の湖さんが上がってきたときとすごくダブる。決して表情に出さず、ふてぶてしい雰囲気がとても似ている。目つきも普通の人ではない怖さを感じる。ただものじゃないと思いました」。

 北の湖と体格こそ違えど、大物の雰囲気を醸し出す阿武咲。稀勢の里にも似る武骨な21歳が、相撲ファンの興味を引きつけている。【今村健人】