総合格闘家でUFCの山本“KID”徳郁のおいで、レスリング元世界女王の山本美憂を母に持つ山本アーセン(19)が、12月31日にさいたまスーパーアリーナで開催のRIZINファイティングワールドGPでヒクソン・グレイシーの次男、クロン・グレイシー(27)と対戦することが9日、RIZINから発表された。

 大みそかに山本一族とグレイシー一族の戦いの歴史が幕を開ける。山本は祖父郁栄氏がミュンヘン五輪代表、叔母の山本聖子さんも世界選手権4度優勝と、格闘家一族のDNAを受け継ぐ。レスリングの20年東京五輪強化選手に当たるターゲット選手に選ばれている。一方のクロンは400戦無敗の伝説の戦士ヒクソンを父に持ち昨年、総合デビューを飾った。

 山本は6月のレスリング全日本選抜をケガで欠場し、リオ五輪への道が閉ざされた。その後、旧PRIDEの仕掛け人、榊原信行実行委員長からオファーを受け「子供のころからの夢だった」と、初の総合挑戦を快諾したという。9月には山本KIDとともにタイ・バンコクで総合の練習を開始。「クロンの試合はビデオで見たけど、寝技以外はすべて自分が上」と自信たっぷりだ。榊原氏は「20年東京五輪での金メダルは目指すし、二刀流で相乗効果はある」と期待する。

 当日は、山本のセコンドに山本KID、クロンのセコンドにヒクソン氏がつく予定。「日本人として、アーセンとして負けたくない。ぶっとばして勝ちたい」という山本が、RIZINの新たな歴史をつくる。【桝田朗】

 ◆山本(やまもと)アーセン 1996年(平8)9月8日生まれ、神奈川県出身。4歳からレスリングを始め、小学時代に全国少年少女レスリング選手権に5度優勝。中学時代にハンガリーへ留学し、国内選手権で7連覇。13年に日本でジュニア五輪カデットの部で優勝し、同世界選手権に出場し、ここでも優勝。一気に日本代表候補に。14年に20年東京五輪を目指すターゲット選手に選ばれた。169センチ、66キロ。

 ◆RIZIN(ライジン) 10月に創設。正式名称はRIZIN FIGHTING FEDERATION。総合格闘技イベントの開催団体で、12月29日、31日にさいたまスーパーアリーナで第1回となる「RIZINファイティングワールドGP2015」を開催する。米国のベラトールなど世界の総合格闘技団体と提携し、米スパイクTV、フジテレビで放送される。実行委員長は旧PRIDEを創設した榊原信行氏。統括本部長は旧PRIDEで「出てこいや~」でおなじみの高田延彦氏が務める。