横綱大鵬の孫の納谷幸男(23)と、9月14日のリアルジャパンプロレス東京・後楽園大会でのプロレスデビュー戦でシングルマッチ30分一本勝負で戦う雷神矢口が23日、都内のリアルジャパンプロレス本部で会見を開いた。

 席上で、矢口が有刺鉄線を巻いたバットを納谷の胸ぐらに突きつけるなど、早くも“場外戦”が展開された。

 今回のデビュー戦は、矢口から度重なる対戦要求があったが、リアルジャパンプロレス主宰の佐山サトル(59)が、凶器の使用なども辞さない大仁田厚率いる邪道軍の戦い方が危険すぎると固辞した経緯があった。ただ、納谷が18日から21日まで石川県羽咋市の妙成寺で行った合宿で「自信がついた。自信を持った状態でやれると、自分の方から先生にお願いしました」と、自ら佐山に対戦を希望し、実現したと明らかにした。

 矢口は「巨人、大鵬、卵焼き。一時代を築いたすばらしい偉大な大鵬親方を、俺は尊敬している」と、納谷の祖父大鵬へのリスペクトを口にした。その上で「見た限りは、遺伝子は120%受けていると思うよ。でもね、強さだけは世襲制じゃないんだな。本人がどれだけ努力して、修羅場をくぐってきたか。25年の修羅場をくぐり抜けた俺と対戦するのは100万光年早いんだよ」と挑発した。

 矢口は納谷との対戦を要求し続けた理由として、納谷の父で元関脇の貴闘力(49)が鈴木みのると組み、14年4月16日に東京・代々木競技場第2体育館で行ったプロレスデビュー戦で、大仁田とタッグを組んで戦ったが敗れたこと。2戦目も戦って敗れたが、その後、貴闘力が焼き肉店の経営に乗り出したため、試合の機会がないまま恨みが残っていると吐露した。

 また貴闘力のデビュー戦で、当時リアルジャパンプロレスの練習生でセコンドについていた納谷が大仁田を捕獲し、貴闘力が矢口に張り手を浴びせてフォール勝ちするのを“アシスト”したことも恨んでいると訴えた。矢口は「試合で絡まないおかげで、あんなうまい焼き肉を俺が食いに行けなくなった。それに、こいつが手を出したおかげで負けたのも、腹が立っているんだよ。だから、こいつと真っ先にやらせろと言ったんだよ」と息巻いた。

 ところが、納谷が当時のことを「覚えていない」と挑発を受け流し、矢口の印象を聞かれても答えないなど相手にしない姿勢を示した。さらに「もちろん、勝つ自信があります」と言ったことに矢口が激怒。「何、この野郎。ふざけんじゃねーよ、お前。何が勝つ自信があるだよ!!」と言い、矢口は納谷の胸ぐらをつかんで有刺鉄線バットを突きつけた。

 佐山が間に入ると、矢口は怒りをにじませながら退場。納谷と矢口の間に、後戻りできない因縁が刻み込まれた。【村上幸将】