ボクシングで初の2大会連続五輪金メダリスト対決は、WBO世界スーパーフェザー級王者ワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ)が6回TKO勝ちした。9日に米ニューヨークで、同級1位でWBA世界スーパーバンタム級スーパー王者ギレルモ・リゴンドー(37=キューバ)との対戦。序盤から王者が攻守でペースを握り、6回終了後にリゴンドウが左手のけがで棄権を申し出て、4度目の防衛に成功した。

 2階級の体格差から、初回からリゴンドーがクリンチにホールドでしのぐシーンが目立った。ロマチャンコは右ジャブを何発も突き、手数で上回り、低い姿勢でしのぐ相手にはサイドから打ち下ろしをヒットさせた。パンチは軽めも圧倒し、スピードも徐々に増して、防御でも滑らかなステップでパンチをかわした。

 5回にはレフェリーが時計を止めて、リゴンドーにホールディングを注意した。ゴング間際に2人がもつれて、ロープに押し込まれたリゴンドーが首投げ気味にいく。ここでゴングが鳴ったが、ロマチャンコもパンチを出し、一時にらみあいになった。

 6回にはついにリゴンドーがホールディングで1点減点となった。ここからロマチェンコがパンチに力を込めだした。この回が終了してコーナーに戻ったリゴンドーが、手の痛みを訴えて「グローブを外してくれ」と試合を棄権となった。

 ロマチャンコは08年北京、12年ロンドン、リゴンドウは00年シドニー、04年アテネ大会の金メダリスト。究極のテクニシャン対決と注目された一戦は、突然のフィナーレとなった。ロマチャンコは「リゴンドーはトップファイターだが、彼の階級でキングなだけ。ボクシング界にはニュースだが、ボクには大きな勝利ではない」。完勝に満面の笑みを浮かべて余裕の弁だった。

 通常は58・9キロがリミット。階級差から朝の当日計量でリミット62・5キロが設定され、ロマチェンコが0・6キロ増の62・1キロ、リゴンドーは0・7キロ増の58・9キロだった。リゴンドーはプロ19戦目の初黒星で2階級制覇はならず。「2回で痛みが出てきた。ウエートではなく痛みの問題。王者はテクニックもレベル高く、爆発力があった。カムバックする」と話した。ロマチェンコは10勝(8KO)1敗、リゴンドーは17勝(11KO)1敗1無効試合となった。