同級4位村田諒太(33=帝拳)が王座に返り咲いた。昨年10月、米ラスベガスで負けた王者ロブ・ブラント(28=米国)との再戦で2回TKO勝ちした。

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感動した。すごいものを見せてもらった。やっぱり村田は持っている。ミドル級で大差負けからの再戦に大方はブラント有利の予想。それに勝つだけでなく、2回で倒しきった。歴史に残る試合だ。

最初のゴングでブラントは走って出てきた。初防衛もして、より強くなり、自信も持って攻めてきた。これに対して、村田は腹をくくって前に出た。心意気、ハートが違った。

パンチをもらっても前に出た。前戦では、パンチをもらうと前に出られず後手に回った。しかし、この日は負けずに迎え撃ち、前に出てプレッシャーをかけた。打たれても距離をつぶし、追い足もあり、ボディーもよく、重戦車のよう。1回で勝てると思った。

この勝利でボクシング界は“半端ない”盛り上がりとなるはず。村田もまだまだいける。アルバレスやゴロフキン戦も、夢でなく現実的になった。

以前は世界戦といえば悲壮感があった。井上尚弥と村田の2人はそんなそぶりもなく、リングで集中して結果を出す。他競技で活躍する選手もそう。これからの日本を支え、変えていく存在といえる。ボクシングの魅力、すごみを存分に見せてくれ、お礼を言いたい。(元WBA、元WBC世界ミニマム級王者・大橋秀行)