1月5日の新日本プロレス東京ドーム大会で引退したレジェンド、獣神サンダー・ライガーの引退セレモニーが6日、大田区総合体育館の興行前に行われた。

新日本の創始者、アントニオ猪木氏(76)からビデオメッセージで31年のプロレス人生をねぎらわれ、10カウントゴングと入場曲「怒りの獣神」の大合唱で見送られた。

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ライガーは試合の時と同じ、本気のフルコスチュームで最後のリングに立った。花束贈呈で棚橋、オカダらに続き、妻千景さん、長男貴光さんが登場すると思わず目が潤んだが、貴光さんが先に号泣。「貴光のバカ、先に泣きやがって。それで冷静になりました(笑い)」。花を受け取ると、2人を抱き寄せた。

サプライズもあった。新日本の創始者で大先輩のアントニオ猪木氏からビデオメッセージが届いた。「31年もよく頑張りましたね。引退というと、寂しい気もするけど、また、若い人たちに夢を贈れるように、頑張ってください。長い間、ごくろうさん」。ねぎらいの言葉をもらうと、画面に向かって深々と頭を下げた。ライガーは「教え子としては落第生。よく怒られましたし、ろくなことしていませんでした。本当にありがたいです」と感謝した。

最後のあいさつ。ファンに対し、感謝とともに、変わらぬ応援をお願いした。「平成元年に東京ドームで獣神サンダー・ライガーはデビューしました。そして、昨夜同じく東京ドームで最後の試合をさせていただきました。対戦相手のヒロム選手に粉々に砕かれましたが、これで引退できると確信いたしました。31年間、ファンのみなさま、ご声援本当にありがとうございました。プロレスラー、獣神サンダー・ライガーはこの日で終わりますが、新日本プロレスは、ますます大きくなり続けていくと思います。変わらぬご声援みなさまにお願いして、あいさつと代えさせていただきます」と述べた。

そして「最後に個人的なコメントをさせていただきたい」と前置きし、家族への感謝を語った。まず、広島から来場してくれた母へ、「お母ちゃん、頑丈な体に生んでくれて本当にありがとう」。妻と子へ「今まで寂しい思いをさせた分、父親らしいことをしていきたいと思いますので、よろしくお願いします」と、それぞれ言葉をかけた。

満員札止め、来場した約4000人のファン、後輩レスラーに囲まれながら、10カウントゴングを聞くと、四方に深々と頭を下げた。棚橋の合図で始まった入場曲「怒りの獣神」の大合唱に包まれながら、レスラーとして、最後の役目を終えた。武藤敬司からは「ほとぼりが冷めたら…」と「マスターズ」参戦の誘いを受けている。だが「カムバックは絶対にない。誓います」と笑いながら否定。今は「ゆっくり寝たい」。少し休み、若手選手らのサポートに回る第2の人生へ進む。【高場泉穂】