プロレスリングノアの約4カ月ぶりの有観客興行が後楽園ホールで行われた。メインのタッグ戦では前GHCヘビー級王者の若きエース清宮海斗(23)が、武藤敬司(57)に真っ向勝負。試合後には初のシングル戦を要求した。

レジェンドに食らいつく清宮も、若さを受けとめる武藤も生き生きとしていた。6月14日テレビマッチでの6人タッグ戦以来1カ月ぶりの対戦。武藤は裸絞めやSTFなど関節技を駆使し、清宮を追い詰めるが、清宮は何とか回避。武藤は閃光(せんこう)魔術で勝利を狙うが、清宮はそれを阻止し、猛虎原爆固めをさく裂。意地を見せた。試合は武藤のパートナー丸藤正道(40)がGHCヘビー級王者潮崎豪(38)に新技「真・虎王」を決めて勝利。清宮武藤2人の勝負はお預けとなった。

清宮は、試合後リングでマイクを持ち、「この前3対3で戦って、今日は2対2。あと一つ残ってるでしょ! 俺はもっとあなたの領域に入っていきたいです。8月10日横浜文体で俺とシングルマッチをやってください」と要求。武藤はその場で「PCR検査受けて、お互い陰性だったらやろうよ」と条件付きで回答。団体は清宮の希望通り、8月10日横浜文化体育館大会でのシングル戦を決定した。

武藤は過去に新日本のIWGPヘビー級、全日本の3冠ヘビー級ベルトは取っているが、ノアのGHCヘビー戦線には縁がなかった。ノアを主戦場とする今、その至宝を手にし、佐々木健介、高山善広に続く3人目の3団体ベルト制覇の夢を描く。「実はなんだかんだいい年して夢があって。やっぱりGHCのチャンピオンベルトというのは俺の視野に入っているんだ。長い間タイトル戦してないから、(清宮戦は)仮想チャンピオンシップを想定してる。できるかできないか、っていう自分自身の査定があるんだ」。前王者清宮との戦いはタイトル戦に向けたいわば腕試しだ。「若いエキス、そしてお客の拍手を浴びてる限りは年取らない気がするよ」と生きのいい清宮との試合、久々の観客の前での試合を存分に楽しんだ。

一方、清宮は「あの人の懐の深さには本当に感謝しかできないよ」とプロレスマスター武藤をあらためて称賛。その上で「だからこそ俺は次こそ、あの人の領域に踏み込んでみせる。プロレス界のナンバーワンになるために絶対にあの人と同じステージに立ってみせます」と初の一騎打ちに向け、気持ちを高めた。