「総合格闘技界の神童」がプロキャリア初の一本勝ちで進化を証明した。仙台市出身の神龍誠(20)は、8月10日に神奈川・横浜市で開催された「RIZIN23」で2回4分30秒、伊藤盛一郎(26)からフロントチョークによるタップアウトを奪った。これで戦績は13戦11勝1敗1分け。みちのくファイターが、飛躍の時を迎えている。

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神龍が野性味あふれるファイトで勝利を引き寄せた。飛び膝蹴りを打ち込んだ後、相手に抱えられる展開になったが、そのまま両腕を首に回してグラウンド(寝技の攻防)に引きずり込むと、新技“シャイニングドラゴンチョーク”がさく裂。「ギロチンはもともと得意で、飛び膝したらキャッチされて(首が)あるなと思ってギロチンを取った」。フルパワーで締め上げ、13戦目で待望の完全決着を決めた。

グラウンドで上に乗られる劣勢が何度かあったが動じなかった。レスリングの全国中学校体育大会で準優勝の実績がある神龍は「動物的な動きが得意なので、体が勝手に反応する」。相手と体勢を入れ替えたり、立ち上がって耐えしのぎ、フィニッシュへつなげた。

プロ転向後最長のブランクだった。コロナの影響で試合から8カ月遠ざかり「自粛であまり練習できず、体重もめっちゃ増えた。(準備)期間が短く全然自分の動きが出せなかった」と全体的なパフォーマンスは納得していない。

今回は59キロ契約のフライ級だが、いずれは1階級上のバンタム級(61キロ)転向を見据える。同級はRIZINと米ベラトール2団体制覇の堀口恭司(29)やRIZIN新王者の朝倉海(26)ら強者が多く「トップの堀口選手とかにはまだ全然勝てない」。それでも20歳の誕生日(7月5日)を迎える前には「今活躍してる誰よりも19歳時点では僕の方が強い。伸びしろもあるし、ゆくゆくは勝てる」と自信をのぞかせていた。

トップファイターへの道をまい進する。「僕はまだ弱いのでしっかり経験を積み、来年、再来年にはRIZINを引っ張っていける選手になりたい」。超速で進化を続ける昇り龍が、格闘技界の未来を背負う。【山田愛斗】

◆神龍誠(しんりゅう・まこと)2000年(平12)7月5日生まれ、仙台市出身。小学2年時に名取のジムでムエタイを経験。同3年時に仙台の「レッドブルレスリングクラブ」でレスリングを始め、千葉に転居後、風早中では柔道部に在籍も競技を継続。16年4月にパンクラスでデビュー。史上最年少の18歳でDEEPフライ級(58・5キロ以下)王座獲得。165センチ。