同級王者森武蔵(21=薬師寺)が3度目の防衛に成功した。同級6位溜田剛士(27=大橋)の挑戦を受け、11回1分39秒、TKO勝ちを収めた。

序盤から仕掛けてきた挑戦者と対峙(たいじ)し「ゴングと同時に向かってきたので、むきになってしまった」と積極的に打ち合った。相手ペースに乗った展開となったものの「中盤に向こうのペースが落ちてきた。スタミナ、体力には自信があった」と7回には連打でロープ際に追い詰めた。11回には「相手の目が死んでいたのでいこうと思った」と攻め込み、切れ味鋭いパンチで、溜田の右目上をカット。コーナーに追い詰め、レフェリーストップによるTKO勝ちを手にした。

19年12月の水野拓哉(松田)とのV2戦以来、約11カ月ぶりのリングだった。今年2月から3カ月ほど米ラスベガス合宿に臨み、4階級制覇王者井岡一翔(Ambition)らを指導するイスマエル・サラストレーナーのもとで練習した。V3戦前には、大みそかに元世界3階級制覇王者田中恒成(畑中)との防衛戦を控える井岡から「組み立てて自分のボクシングをしろよ。オレにつないでくれ」との激励の連絡も受けていたという。

森は「ラスベガスで井岡さんと一緒に練習した時、12回までの心の持ちようや試合の組み立て、考え方を学んだ。それができるようになったら、もう1段階上にいけるかな」と意欲。現在はWBO世界フェザー級4位にランクされているため「決まった試合をやりたい。ボクシングはタイミングや巡り合わせがありますが、来年、近いうちに世界の舞台で戦いたい」。前日27日に誕生日を迎え、21歳になって初試合を白星で飾った森が堂々と世界挑戦の目標を掲げていた。【藤中栄二】