元WBC世界同級王者で挑戦者の井上拓真(25=大橋)がスーパーフライ級に続き、東洋太平洋2階級制覇を達成した。

19年11月、WBC世界同級正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との王座統一戦に判定負けして以来の再起戦として、同級王者栗原慶太(28=一力)に挑戦。体格で上回る王者に対し、スピードで対抗。序盤から左フックをヒットさせ、リズムをつかんだ。

1回に偶然のバッティングで左目上をカットした栗原の出血がひどくなり、9回途中でレフェリーストップ。井上が9回2分25秒、3-0の負傷判定勝利となった。

井上は「再起戦ということ、再起戦にして東洋太平洋王座に挑戦できたことを感謝しています。1年2カ月のブランクが空いたにしろ、少しでも自分のボクシングが出せて良かった。相手の土俵に付き合わないで自分のボクシングに徹する。それが少しでも出せたかなと思う」と納得の笑みを浮かべた。

新型コロナウイルスの影響で外国人の練習パートナーを呼べないこともあり、昨年11月に米ラスベガスで防衛に成功したWBAスーパー・IBF世界同級王者の兄尚弥(27=大橋)とのスパーリングなどで調整。兄弟の絆を深めつつ臨んだ1年2カ月ぶりのリングだった。井上は「前回の世界統一戦で負けて悔しい思いをした。また世界に向けてということで負けたくなかった。ここからまたスタート地点に立てた。兄に少しでも近づけるよう、兄弟世界王者を目指したい」と決意を新たにしていた。