K-1で「邪道」を進む!? K-1傘下のKrushバンタム級王者壬生狼一輝(19=力道場静岡)が「邪狼(じゃろう)」を襲名し、30日に横浜武道館で開催されるK-1同級日本最高決定トーナメントに臨む。

決勝まで1日3試合の過酷なトーナメント。まず1回戦で野田蒼(18=月心会チーム侍)と激突する壬生狼は「邪道」レスラー大仁田厚(63)にあこがれ、記者会見で邪道魂のパフォーマンスを貫いている。

福岡出身の壬生狼は同じ九州で長崎出身の大仁田の全盛期に生まれていない。邪道の存在を知ったのはユーチューブだった。「最初は弟が大仁田さんの試合を見ていたんです。自分も見たら電流爆破とかすごいなと。試合だけじゃなく、マイクとかも格好いいなと。たくさん映像を見ました」。昨年からK-1系列の大会に参戦すると、記者会見では大仁田がマイクを持った際のかがんだポーズを取り「オイ!オイ!オイ!」と大仁田節を全開させる。4月のカード発表会見では自前の法被姿で登場するなど存在感は際立っている。

2日には神奈川・鶴見青果市場で開催されたプロレス興行「爆破甲子園2021年春」に足を運び、大仁田と初対面を果たした。Krush王座ベルトを持参し、3月の王座戴冠を報告。大仁田には「SNSで存在を知って同じ九州人として応援しようと思ったら王者になってくれて。お前が『オイ!オイ!』とやってくれているのを(動画で)見てうれしいよ。会見でもどんたくの格好をしていて、あれは画的に目立つ。目立ってナンボの世界だから大事」と、姿勢を評価。さらに「お前の好きなところはただ目立とうとするだけじゃなくて、上にのし上がってやろうという九州人ならではの心意気があるところ。武尊を追い越してK-1の大スターになってくれ!」と激励された。

大きな刺激を受けた壬生狼は「トーナメントに向けて大仁田さんにお願いがあります」と自ら筆で書いた「邪狼」の文字が記された紙を取り出した。「僕に『邪狼』を名乗らせてください」と直談判。大仁田に「俺の試合を見て名乗るかどうか決めろ」と返答され、リングで電流爆破マッチに臨んだ邪道の勇姿を目に焼きつけた。

試合後、あらためて「めちゃくちゃ格好良かったです。僕に『邪狼』を名乗らせてください」とぶつけると、大仁田には「頂点に上り詰めたら嫌われるぞ。嫌われる覚悟をしておかないと。でも人生ってそんなもんだよ。だからお前は頂点まで上り詰めろ。お前の真っすぐなところが好きなんだよ」とお墨付き。K-1をけん引する存在になった時には「邪狼」の文字を刻んだ革ジャンのプレゼントも約束されると、壬生狼は「絶対に優勝します」と誓った。

K-1では電流爆破は不可能だが「邪道魂」を胸にリングに持ち込むことは可能だ。派手なパフォーマンスとは対照的に、高校卒業時に地元を離れ、首都圏ではなく、あえて静岡・清水区の力道場に入門。ジムの2階で生活しながら黙々と練習漬けの生活を送るギャップもいい。30日のトーナメントは「邪狼」にも注目したい。【藤中栄二】