ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が19日(日本時間20日)、米ネバダ州ラスベガスのヴァージンホテルで挑戦者のIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)との防衛戦(WBA5度目、IBF3度目)に臨む。ダスマリナスが身長170センチのサウスポーという通常のオーソドックス(右構え)には難敵になるタイプだが、井上には左への苦手意識はまったくない。

プロ20戦のうち、過去2度のサウスポーとの対戦がある。14年12月、当時のWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)、18年10月、元WBA世界バンタム級スーパー王者フアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)だ。ナルバエスには2回KO、パヤノは70秒KOとサウスポーを序盤で料理してしまった。

ナルバエス、パヤノと比較しても、ダスマリナスは癖が少ないボクサーとされる。左ストレート、左アッパーを武器としており、パンチ自体も強打が売り。過去の試合では序盤から攻めるタイプだけに、井上が距離感を測り、試合を組み立てることができれば、過去のサウスポー2人と同様、序盤で決着がつく可能性も高い。一方、ダスマリナスが攻め急がずにじっくりと攻めてきた場合、井上はパヤノ戦でみせたワンツーやカウンターで合わせる左フック、あるいは得意の左ボディーで攻める展開となるだろう。

ダスマリナスは、もともと19年10月、井上の弟で元WBC世界同級暫定王者の拓真の練習パートナーとして来日。大橋ジムでスパーリングした経験がある。井上と拳を交えることはなかったものの、トレーニング姿やスパーリングを身近で見ていた経験がある。また元WBC世界バンタム級王者山中慎介、元IBF世界スーパーバンタム級王者岩佐亮佑らのスパーリング相手としても来日経験があり、日本人ボクサーの特徴も知っている。もしもダスマリナスが井上の動きを熟知し、対応できるような展開を演出すれば、両者はレベルの高い攻防をみせることになるだろう。

◆放送 WBA・IBF世界バンタム級タイトル戦井上尚弥-ダスマリナス戦はWOWOWプライムで生放送、WOWOWオンデマンドでライブ配信される。