米プロレスWWEのNXT女子タッグ王者紫雷イオ(31)には心強い「パートナー」がいる。

昨年2月から黒猫ペタと一緒に米国で生活。この愛猫との出会いを契機に、NXT女子王座やNXT女子タッグ王座を獲得するなど幸運のペットとなっている。「WWEの世界」第9回はNXT女子トップランナーのタリズマン(お守り)を紹介する。

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世界トップクラスのレスラーが集結するWWEで激しい競争を続けている紫雷とって「ペーちゃん」こと愛猫ペタが相棒だ。名前はプロ野球ヤクルトなどで活躍したペタジーニが由来。「選手が好きだったというわけではなくて『助っ人外国人』のイメージで名付けました」という。

日本に残した猫2匹は父親に預けており「日本に連れて帰るとペーちゃんが外国猫になる。私もWWEでは助っ人外国人なので、2つの意味を込めています」と命名にも強いこだわりがあった。

米国生活も2年となった昨年2月、米国の保健所に足を運んだ際、ペタと出会った。新型コロナウイルス感染拡大の直前に引き取ると「すぐにロックダウンになりました。もしあの時、1人で家にいたら気がめいっていたかなと。ペタがいてくれて良かった」と感謝する。米国でも不吉の象徴との迷信がある黒猫は不人気。当初、紫雷も猫種アビニシアンを探していたが、ペタの積極的な“姿勢”にほれ込んだ。

「たくさんいる猫の中で、すぐに来てすりすりしてきた。すごく頑張り屋さんで、金網の中からアピールする。すごくガッツがあって、強くひかれました」

引き取った後も他の猫や知らない人にも近寄っていく社交的な態度に何度も驚かされた。自称シャイで人見知りという紫雷は「猫なのに人懐っこい。ペーちゃんみたいに自分も元気に、ニコニコしなきゃと思わせてくれます。特別なエナジーをもらっています」。自身と正反対となる愛猫の性格に勇気と元気をもらっている。

昨年6月、実に9度目の挑戦で紫雷はリア・リプリーを下し、NXT女子王座を獲得した。300日以上、同ベルトを保持。王座陥落後、すぐ7月には急造コンビながらゾーイ・スタークとともにNXT女子タッグ王座も手中に収めた。今だに運気上昇中の紫雷は「常に一緒についてきてくれる存在。ペーちゃんが来てくれて人生が上向きです」と感慨深げだ。

強い愛情を注ぐあまり「自分が殴られても何も思わないですが、ペタが殴られたら死ぬほど怒ります! 100倍返し! 墓場までお前のこと殴るぞと言いますよ」とちゃめっ気たっぷりの笑顔。NXT女子のトップ戦線を走り続けることができるのは守り神がいてくれるからこそ-。不吉と言われる黒猫から幸運をもらうNXT女子タッグ王者のオーラはWWEでも特別な存在感をみせている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)