「N-1 VICTORY」初出場の武藤敬司(58)がAブロック初戦で杉浦貴(51)と対戦し、30分時間切れ引き分けとなった。残り2分を切り、フロントネックロックで勝負に出た杉浦に対し、意識が遠のきながらも必死に耐え抜いた。残り10秒での五輪予選スラムもカウント2で返し、3カウントは許さなかった。バックステージに現れる力は残っておらず、関係者を通じて「コメントする気力がない。次の試合からまた頑張ります」と報道陣に伝えた。

50代の2人が初戦から激闘を繰り広げた。「1発目が杉浦戦。今ちょうど脂が乗って勢いを感じさせる選手」と話していた通り、序盤から集中していた武藤。前半20分までは自分のペースだった。3度の足4の字固めで勝負をかけるも、ロープに逃げられ、勝ち切れずに流れを失った。

今回のテーマは「己への挑戦」とした武藤。「敵は杉浦でも藤田でも船木でもなく自分」と語る。今年2月にGHCヘビー級王座に戴冠し、その後ノアに加入。6月に丸藤に奪われたが「自信になった」と手応えを感じ、N-1にも参戦を表明した。杉浦からは「新弟子」呼ばわりされたが「新弟子らしくフレッシュな気持ちで」と気にせず、貪欲に優勝を狙う。

09年全日本のチャンピオンカーニバル以来となるリーグ戦。「怖いのは故障。連戦だから。不安もある」と話していただけに激闘による疲れも心配される。次戦は19日「手は抜けない」と話していた征矢戦。1週間で回復し、今度こそ初勝利をつかむ。【松熊洋介】