「カネロ」の愛称で世界的人気のあるボクシング3団体(WBAスーパー、WBC、WBO)統一スーパーミドル級王者サウル・アルバレス(31=メキシコ)が同級初の4団体統一に成功した。IBF世界同級王者カレブ・プラント(29=米国)と4つのベルトを懸けて拳を交え、11回、TKO勝ちを収めた。

「私にとって、もっとも重要なファイト」と設定した1戦を制し、バーナード・ホプキンス、ジャーメイン・テイラー、テレンス・クロフォード(すべて米国)、オレクサンデル・ウシク(ウクライナ)、テオフィモ・ロペス(米国)、ジョシュ・テイラー(英国)に続き、史上7人目の4団体統一王者となった。

9月に米ビバリーヒルズで開催された対戦カード発表会見の際、フェースオフ(にらみ合い)で殴り合い、プラントの右目下が裂傷し、流血するほどの乱闘が起こった。IBF王者から18年のドーピング検査違反による6カ月の資格停止処分を受けた過去を指摘され、腹に据えかねていた。「プラントは一線を越えた」(アルバレス)と因縁深まる対決となり、注目度は、さらに上がっていた。

米老舗ボクシング雑誌ザ・リングのパウンド・フォー・パウンド・ランキング(階級超越した最強ランク)では18年11月から1位に君臨し続ける。「ファンの祝福や期待に私はやる気を感じている。それは多くのことを意味する」と静かに燃えたアルバレスは前日計量で立会人を務めた元統一ヘビー級王者マイク・タイソンに刺激を受けた。

「いつか私は彼のようになるだろう」。スーパーウエルター級からライトヘビー級まで世界4階級を制覇。一時は3階級で世界ベルトを同時保持するタイミングもあった世界的スーパースターは最高潮を迎えている。