元WBC世界バンタム級暫定王者でWBOアジア・パシフィック・スーパーバンタム級1位の井上拓真(25=大橋)が王座獲得に成功した。同級3位で元東洋太平洋同級王者和気慎吾(34=FLARE山上)と同王座を懸けて拳を交え、3-0の判定勝利を収めた。4回に右強打でダウンを奪うと、左フックと右の強打を的確にヒットさせ、主導権を握り続け「練習でやってきたパンチでダウンが取れたのは1つ良かったところ。1階級上げての打ち合いでも引かずにやれた。そこだけは良い収穫だった」と振り返った。

これでWBC世界バンタム級暫定王座、東洋太平洋スーパーフライ級、同バンタム級王座に続き、4本目のベルト獲得となった井上は「今は勝ててほっとしているのが1番。課題もいっぱい見えた。世界と言っている以上、直したい」と気を引き締めた。今年1月に東洋太平洋バンタム級王者栗原慶太を9回負傷判定で下して以来、約10カ月ぶりのリング。世界挑戦の可能性を広げるため、1階級上の地域王座獲得を目指した。「世界へのステップ」という世界前哨戦への意味合いが強かった。

19年11月、WBC世界同級暫定王者として団体内統一戦で判定負けを喫した正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)と同じサウスポーの和気を撃破したことも世界再挑戦に向けた手応えになる。WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者の兄尚弥(28)と再び兄弟世界王者となる目標を掲げる井上は「兄と比べられている以上、(ダウンを奪ったら)兄は倒し切る。兄とは(比較して)まだまだと思っている。完成度は60%ぐらい。そこは100%に持っているために父(真吾トレーナー)と見つめ直して練習に取り組みたい。今は兄弟世界王者というのが今の目標。世界が決まったら1発で取れるようにしたい」と意気込んでいた。