総合格闘家の朝倉未来(29=トライフォース赤坂)が、リベンジマッチで成長を証明する。

大みそかに行われるRIZIN33大会(さいたまスーパーアリーナ)の対戦カードが9日に追加発表され、朝倉の出場と対戦相手が前RIZINフェザー級王者斎藤裕(34=パラエストラ小岩)に決まった。RIZINで初黒星を喫した相手との約1年ぶりの再戦で、強さをみせつける。

【発表された追加6カード】はこちら>>

命を削って格闘技を盛り上げる覚悟がある。朝倉は、会見で一切表情を変えなかった。「大みそかは格闘技が一番盛り上がる日。盛り上げるために出場を決めた」と淡々と思いを打ち明けた。

対戦相手の斎藤には、昨年11月の25大会でRIZINフェザー級王座決定戦で判定負けを喫した。気迫に押され、最後まで主導権を奪えなかった。あの時とは違う。「2人とも強くなっているので楽しみにしていてください。相手が希望する試合にはならない」と力を込めた。

朝倉にとって斎藤は「格闘技の厳しさを教えてもらった」相手でもある。ランニングもウエートトレもしなかったが、敗戦を機に、トレーナーを5人に増やし、今春から厳しいトレーニングを敢行。10月のランドマーク大会の試合後には「やり返すためにきつい練習をしてきた。大みそか、よろしくお願いします」と放送席で解説を務めた斎藤に再戦を呼びかけた。

満身創痍(そうい)でもRIZINの顔として、強い責任感があった。先月20日のABEMAの企画「朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円」で、左膝の半月板を負傷。翌日に「歩けないぐらい痛い」と漏らすなど、今大会の出場が危ぶまれた。

それでも、6日にはインスタグラムのストーリーズで「命を削ろう、俺は格闘家だからな 格闘技に痛めつけられ、でも生かされている 格闘技が、好きだ 年末は日本盛り上げてやるよ 色々任せとけ」(原文まま)と投稿。この日の会見では「ケガなんてありましたっけ?」と、質問をかわした。言い訳はしない。大みそかの主役も譲らない。【勝部晃多】

◆RIZIN25(20年11月21日、大阪城ホール) 朝倉はフェザー級タイトルマッチ(男子総合ルール5分3回)で斎藤と対戦。打撃戦の末、0-3で判定負けし、RIZIN8戦目で初黒星となった。3回、朝倉が左のカウンターでぐらつかせると、負けじと斎藤もパンチの連打でコーナーに追い込んだ。要所でテークダウンを取られて、斎藤に軍配が上がった。朝倉は試合後、「ダイレクトリマッチをしたい。次やったら勝ちますよ」と再戦を希望していた。