WBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(36=帝拳)が同級最強とされる世界的スターに屈し、2団体の世界王座統一を逃した。

元3団体統一同級王者でIBF世界同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)と拳を交え、9回にプロ人生初のダウンを喫し、2分11秒、TKO負け。13年のプロデビューから9年、17年の世界王座初奪取から5年。常に目標としてきた現役レジェンドを撃破できなかった。戦績は村田が19戦16勝(13KO)3敗、ゴロフキンが44戦42勝(37KO)1敗1分け。

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▽大橋秀行の目

中身の濃い、最高の試合だった。80年代にテレビで見て興奮した、あのハグラーやレナード、ハーンズのスーパーファイトを思い出した。こんな迫力に満ちたミドル級の打ち合いを、日本で観戦できたことに感動している。この試合を実現させた帝拳の本田明彦会長に敬意を表したい。

村田選手は敗れたが、これまでで一番いい試合だったと思う。初回からワンツーとボディーブローで勝負をかけて、あのゴロフキンを後退させた。ピンチに陥っても、効いていても、カウンターを狙っていた。最後まで勝負を捨てず、止められる直前まで反撃していた。すごい闘志だった。

ゴロフキンは左ジャブが重く、使い方も巧みだった。それが勝敗を分けたように見えた。たたきつけるような独特な左フックも強く、パンチを浴びても慌てなかった。ただ、村田選手は体のパワーでは負けていなかった。日本人でもミドル級のトップ戦線で戦えることを、あらためて証明してくれた。

試合後に2人が笑顔で抱き合うシーンが美しく、気持ち良かった。試合前から互いに挑発することなく、笑顔で敬意を表していた。開始ゴング前の一瞬のにらみ合いは、すごみがあったが、戦いが終わればまた笑顔で健闘をたたえ合う。2人はこの一戦を通じて、ボクシング、そしてスポーツの美しさも見せてくれたと思う。(元WBC、WBA世界ミニマム級王者)