WBO世界ミニマム級王者谷口将隆(28=ワタナベ)が波乱含みの初防衛戦をTKO勝ちで締めた。前日計量で2・5キロ近く体重超過した同級5位石沢開(25=M.T)との初防衛戦に臨み、11回2分29秒、TKO撃破。ギリギリで当日計量をパスした石沢の強打を回避し、自由自在に動き回って手数多く攻め続けた。11回に左ストレートでぐらつかせ、レフェリーストップに追い込んだ。
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負ければ空位となる変則的な防衛戦で、谷口が自由自在に動いた。石沢から放れたと思えば、すぐに至近距離に入った。サウスポーから左ボディー、左ストレート、右アッパーと多彩なテクニックをみせ、4回以降は確実にジャッジの支持を得た。「体調不良の中、試合に出てくれた石沢選手をはじめ、関係者に感謝したい。これからの彼をみていただけたら。失敗から何かがある」と粘り強く攻めてきた石沢に熱いエールを送った。
試合後、リング上で石沢から「すみません」と謝罪された。体重超過で失格となったが、試合当日午後5時半の計量も両陣営の合意通り、リミット(47・6キロ)より3キロ増で収めた努力を認め「ここからは謝らなくていいよ」と優しい言葉でノーサイドを強調した。「彼もこれから処分を受ける。思い詰めたと思う。いろいろあったが、ご飯を食べたら頑張ればいいと思えたから」と振り返った。
入場時のポンチョ風ガウンの背中には「MATADOR(マタドール=闘牛士)」と刻んだ。世界王者になった後、自ら愛称に決めた。「マタドールの名の通り、突進する相手をいなして倒したい」と込めた思い通り、強打で攻める石沢をいなしながら主導権を握り続けた。世界戦トランクスには母校・龍谷大をはじめ、計4社の新スポンサーがついた。背負うものが増えたからこそ、世界王者としての自覚があった。
セコンドについてくれた盟友のWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口とのダブル世界戦も希望している。V1成功で海外進出への思いも膨らんだ。挑戦者の体重超過という予想外の展開を締めくくり「これもいい経験。すべてが良い経験です」。WBOベルトを守り切った谷口は安堵(あんど)感に満ちた笑顔があふれた。【藤中栄二】
◆谷口将隆(たにぐち・まさたか)1994年(平6)1月19日、兵庫・神戸市生まれ。中学1年でボクシングを始め、神戸一高、龍谷大でボクシング部に所属。アマ戦績55勝(16KO)19敗。16年4月にプロデビューし、17年4月の日本ミニマム級王座決定戦、同11月の東洋太平洋同級王座決定戦で、いずれも判定負け。18年11月にタイでWBOアジアパシフィック同級王座獲得。19年2月にWBO世界同級王者サルダールに判定負け。20年12月に日本同級王座獲得。昨年12月に当時の王者ウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)に11回TKO勝ちし、新王者に。身長162センチの左ボクサーファイター。家族は母、姉3人、弟2人。

