IBF世界スーパーフェザー級王者尾川堅一(34=帝拳)が完全アウェーで初防衛に失敗した。地元カーディフ出身の同級3位ジョー・コルディナ(30=英国)とのV1戦に臨み、2回1分15秒、KO負けを喫した。右ストレートをあごに受けてダウン。そのまま大の字に倒れ、再び立ち上がることができなかった。

試合後、所属ジムを通じて尾川は「申し訳ないです、それに尽きます。のまれたし、コルディナ選手も強かったですし、それがすべてなんですけれど」と自己分析。サッカーのサポーターのような英国独特な応援、完全アウェーの雰囲気に硬くなったと明かした。

昨年11月、米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでの王座決定戦で世界王座を獲得。海外マッチにも抵抗感はないタイプだったが「やはり自分自身の硬さというか、実力のなさを痛感したのが今の思い。(自分でも)動きながら硬いなと思っていていた。トレーナー達に確認しても硬いと言われて」と説明。自らの動きと展開を変える意識をしていたところ、無意識に左腕のガードを下げていたという。

「その変化をつけたところで相手の変化にやられてしまったというのが、映像を見直して分かったところなんですが、ガードを上げたり下げたり、何か変えないとなってところは覚えているんですけど、あごで倒れたのは初めてなので、これはもう自分の完全な負けですね」

1回は左フックを相手のあごに打ち込み、ロープ際に追い込むなどの展開を演出していた。ペースを握り、ジャッジ3人中2人から1回のポイントを得ていた。尾川は「ポイントは僕だったんですか? なおさら悔しいですね。自分のジャブだったりフックだったり感触が良かったってのはあったんですけど、全体的な流れとして、やっぱ相手の地で戦っているという部分で、そこで自分が1ラウンドに行けたなという気持ちになれていないのが、やっぱり2回に出てしまったというのはある」と悔やんだ。

ダウンシーンは右ストレートをあごに受け、大の字に倒れてしまった。「2試合前の西谷選手との試合で取られたダウンもありましたけど、あごで倒れたら僕は終わりだと思っていた。自分自身のタフさを信じていましたし。これまでスパーリングでも効いたりはありましたが、あごだけは(大丈夫)と思っていましたが、今日モロに食らって倒れた」としんみり。

過去、英国では日本人の英国人相手の世界戦は過去5戦全敗。尾川もジンクスを打破できなかった。今年2月、34歳で迎えた尾川は「ボクシング人生12年やって、年齢なのかも分からないですけど納得するところもあります。悔しいですけど」と振り返った。