「総合格闘技界の神童」が、世界最高峰のUFC(米国)参戦に向けて勝ち続ける。仙台市出身でDEEPフライ級王者の神龍誠(22=神龍ワールドジム)は、31日に開催されるRIZIN37大会(埼玉スーパーアリーナ)に出場。「闘うフリーター」の愛称で親しまれてきた、所英男(44=リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)とフライ級契約(57・0キロ)で対戦する。両者の年齢差はちょうど2倍の22歳。新旧実力者対決で圧倒する。

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7連勝で勢いに乗る「フライ級国内最強」の男が、RIZINの舞台にカムバックだ。神龍はキャリア初の一本勝ちを収めた、20年8月10日の同23大会以来約2年ぶりに参戦を果たす。所戦が発表された6月24日の会見で「今回のテーマはおやじ狩りなので、残酷にボコボコにします」と高らかに宣言。グラウンドでハイレベルな攻防が予想され「注目度が高いので、圧倒的な試合をしたい」。実力差を見せつけ、次のステージに進む。

15歳でプロデビューした逸材。通算戦績は13勝1敗1分け。主戦場のDEEPで史上最年少の18歳11カ月でフライ級王者に輝いた。直近では5月8日のDEEPフライ級王座統一戦で、暫定王者の藤田大和(29)に一本勝ち。勝利インタビューでは「次は世界で戦いたい。UFCのオファーをお待ちしています」と叫んだ。

プロ15戦でトップ選手の地位を築いた。13勝の内訳は判定が11勝、一本が2勝。「1回しか負けてないし、ここまで順調に来ているが、もっとKOや一本を稼ぎたかったという思いはある」。一方で直近3試合は2度フィニッシュ。「今まで一本やKOが少ないのは、大人の体に仕上がっていなかったことが影響している。今はフィジカル面が仕上がり、フィニッシュにつながっていると思う」と進化の要因を分析する。

20歳で経営者になった。昨年5月19日に宮城・亘理町に神龍ワールドジムをオープン。6歳から50代まで約30人が通い、今後は会員を100人に増やすことが目標だ。「ゆくゆくは人が多い仙台でもジムを開きたい」。その上で「格闘家をやっている以上は試合で稼ぐのが一番。年4試合はやりたい」。ここ2年は1試合ずつだったが、本業により力を入れていく。

「キックボクシング界の神童」こと那須川天心(23)が所属する、千葉・松戸市のTEPPEN GYMで打撃強化に励む。東京が拠点だった頃から足を運び「天心さんは練習からめちゃくちゃ強い」と明かす。6月19日に東京ドームで開催された「THE MATCH」。那須川が武尊(31)に快勝した大一番を画面越しに見届けた。「最後まで一番で、さすがです」。キックボクシング無敗でボクシングに転向する「神童」のすごさを再認識した。

世界最高峰へたどり着く。同じフライ級の平良達郎(22=パラエストラ沖縄)が5月、プロデビューから10戦全勝でUFCに参戦。「先に行かれたのは悔しかったが、焦らずに頂上でできればいい。UFC(との契約)はタイミングなので」。RIZIN、DEEPで勝ち続け、いずれ平良と戦う未来を描く。

まずは所戦で完勝する。神龍にとって通過点に過ぎないが「必ず印象に残る試合をして決着をつけて勝ちたい」。22歳の新星と44歳のベテランが向かい合う「THE MATCH」。圧巻のフィニッシュで世代交代を印象づける。【山田愛斗】

◆神龍誠(しんりゅう・まこと)本名は高橋誠。2000年(平12)7月5日生まれ、仙台市出身。小学2年時に名取のジムでムエタイを経験。同3年時に仙台のレッドブルレスリングクラブでレスリングを始めた。千葉に転居後、風早中では柔道部に在籍しながらレスリングも継続。15年の全国中学生レスリング選手権73キロ級で準優勝。16年4月にパンクラスでプロデビュー。19年6月に史上最年少の18歳11カ月でDEEPフライ級王座獲得。プロ戦績は13勝1敗1分け。165センチ。