前4団体統一バンタム級王者井上尚弥(29)にいとこで、元日本スーパーライト級王者の井上浩樹(30=ともに大橋)が約2年7カ月ぶりに復帰戦で勝利を飾った。タイ・ライト級2位パコーン・アイエムヨッド(27)とのスーパーライト級8回戦に臨み、2回0分38秒、レフェリーストップによるTKO勝ちを収めて健在ぶり示した。

再び尚弥や元WBC世界バンタム級暫定王者の拓真(27=大橋)という、いとこ2人と比較される立場に戻った。井上は「今は比較される立場にない。比較してくれるぐらいにはなりたいです」とキッパリ。現役復帰後の目標も「世界王者を目標しないといけないと思います。目指すところはそこですね」と背中を追う決意を示した。所属ジムの大橋秀行会長も「井上家で浩樹が1番才能がある。これからいろいろ決めたい。チャンスはつくりたい」と後押しした。

現役引退当時は新型コロナウイルス感染が始まった時期のため、最後の試合は無観客だった。井上は「楽しかったですね。さいごが無観客だったので。見てもらえるのが当たり前から無観客を経験して、(有観客が)どれだけ素晴らしいか体験できた。ただいまって感じですね。最高でしたね」と感慨深げだった。

20年7月、永田大士(三迫)との日本王座3度目防衛戦で7回TKO負けを喫した。プロ初黒星で現役引退を表明したが、リングから離れていた間、古傷の腰痛や左手親指付け根痛が回復。20年、21年と尚弥の米ラスベガス2連戦のサポートとして帯同し、刺激を受けていた。尚弥からも「(ボクシングを)やろう」と励まされたことも大きく、最後は大好きなアニメ映画で勇気をもらい、昨年2月に現役復帰を決めていた。