プロボクシング元WBC世界バンタム級暫定王者でWBA世界同級2位の井上拓真(27=大橋)が約3年5カ月ぶりの世界返り咲きに自信を示した。

4月8日、東京・有明アリーナで同級3位リボリオ・ソリス(41=ベネズエラ)との同級王座決定戦を控え、27日に横浜市の所属ジムで公開練習に臨んだ。前4団体統一同級王者の兄尚弥(29=大橋)の王座返上を受け、空位となったWBA王座を懸けて元WBA世界スーパーフライ級王者ソリスと拳を交える。

19年11月、WBC世界同級正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との団体内統一戦に敗れて以来の世界戦となる。メキシコ人パートナー2人と約100ラウンド近くのスパーリング数を消化。さらに兄尚弥も交流の深い12年ロンドン五輪男子フライ級代表で日本ボクシング連盟理事の須佐勝明氏(38)を特別コーチに招き、細部の技術を学んだ。

内容こそ言わなかったものの、井上は「(須佐氏の指導で)自分の気づかないところを気づかせてもらった。かなり順調に調整できた。必ず返り咲きを果たしたい。ワクワクしている。(兄に続く)4団体統一への第1歩」と気合を入れ直した。

世界戦に向けて製作しAた特製Tシャツには「AWAKEN」と刻まれていた。目覚める、覚ますという意味で、井上は「覚醒の意味ですね。みんなと相談して決めた。ここから再スタートだと思っているので」と経緯を明かした。今月中旬、兄尚弥が拳を痛めてWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(28=米国)への挑戦が7月に延期。今回は兄弟での軽めのスパーリングなどはできないが「今回は(治療に)専念してもらわないと」と兄に世界戦勝利のバトンをつなぐ意識を高めた。

21年11月以降はスーパーバンタム級を主戦場としてきたものの、減量も順調に進んでいるという。井上は「プレッシャーはそこまで感じていない。自信はあるので、いまは楽しみでしかない」と自信に満ちあふれていた。