プロボクシング元IBF世界スーパーフェザー級王者の尾川堅一(35=帝拳)が4月1日、東京・後楽園ホールでの10回戦(60・0キロ契約体重)でクライ・セッタポン(36=タイ)と約10カ月ぶりの再起戦に臨む。

3月31日に都内の日本ボクシングコミッションで計量をパスした元王者は「思い通りのパンチでスパッと倒せれば、もう1度世界にいける自信が深まる」と、完全復活した自分に期待していた。

昨年6月の初防衛戦で挑戦者のジョー・コルディナ(英国)に2回KO負けを喫した後、「最後に後悔したくない」と、再起を期して同8月に長年痛みを抱えていた右肩の手術に踏み切った。2カ月後に練習を再開した時は、痛みがひどく右手を肩まで上げることもできず「腹が立った」という。それでもパンチを振り回しているうちに、痛みが抜けた。12月には全力での右腕のトレーニングも可能になった。

「これまで寝るときも痛くて、私生活でもストレスがあった。ずっと注射しながらごまかしてきたが、手術に踏み切ってよかった。右肩は生まれたて。何の痛みもない。今は快適。この右の状態だったら、相手はどうであれ試せる」と、尾川の表情は自然と緩む。

国内リングは20年10月以来、約2年6カ月ぶり。「日本でやるのは楽。リラックスできる。家から会場にいけるのは大きなメリット。すごく落ち着いて調整ができた。今は自分自身が楽しみ」と、尾川は久しぶりのリングが待ち遠しくて仕方がないようだった。【首藤正徳】