4月にプロボクシングで白星デビューを飾った日本スーパーバンタム級7位の那須川天心(24=帝拳)が7日、千葉・成田市内で臨んでいる走り込み合宿を公開した。

6月4日から10日まで、中村正彦ストレングス&コンディショニング・コーチのもと、同門のWBC世界ライトフライ級2位岩田翔吉(27)、日本バンタム級4位増田陸(25)、日本スーパーフェザー級3位波田大和(26)、日本ライトフライ級13位高見亨介(21)、アマ58勝23敗の実績でプロデビュー4連勝中の嶋田淳也(25)と起伏の激しいゴルフコースを走り込み、フィジカル強化を図っている。

格闘家人生初の走り込み合宿の前半パートを終えた那須川にとって、中村コーチのメニューは“自己新”のハード練習ばかりだ。過去のロードワークの距離は通常6キロ、多くて8キロだったが、今回は毎朝5時に起床して10キロに設定。午後にはダッシュ系の走り込みで心肺機能を高め、さらには腹筋など体幹を鍛えるメニューも入っている。

那須川は「今後、長いラウンドを戦うことになる。前回は6回戦で今までの経験でできた部分はあった。キックでも6回は延長でやったことがある。でも、その2倍となると経験していないゾーンで戦わないといけない。その体力や心構えをつけるトレーニングなのかなと思う」とテーマを掲げた。

もちろん全身が筋肉痛になっているという。「今まで感じたことのない筋肉痛なので成長しているなと。100%を常に出している。これを超えられるような『精神と時の部屋』みたいな感じで濃い内容を過ごしている。もっともっと強くなると思います」。漫画ドラゴンボールで主人公・孫悟空が修行で使う神様の神殿内にある特殊なエリアになぞらえ、自身が鍛えられているという手応えを示した。

プロボクサーとしてゼロからのスタートを切っている心境も強調した。「キック時代はずっとチャンピオンで、これをすれば勝てるというのはあったが、また変化しないといけない。日々楽しい。人は限界を決めたら終わるし、限界がないことを自分の体で示したい。一緒のメンバーの中で一番遅い。後ろから数えて1位で心が折れそうになるけれど、やっぱり逆に考えるとのびしろしかない。ここからもっとスタミナをつけて強くなると自分の中でうれしく思っている」とキッパリ。常に前向きな姿勢を示した。

中村コーチが「合宿も明日から後半戦なので基礎的な能力の向上を目指していきたい。これから強度を上げていけるだけの基礎的能力はある。楽しみ。もう1段階上げていきたい」と説明すると、那須川は「え?」と苦笑いを浮かべていた。