不死鳥・征矢貴(28)が、復活の勝利を挙げられなかった。第1試合で、ラマザン・テミロフに1回KO負け。
序盤からテミロフの左フックで、足元がふらつくと、最後はバックキック、右ストレートでダメージを受け、左フックの前にダウンした。「悔しいの一言ですね。勝って、応援してくれてる皆さんを喜ばせたかった」と唇をかんだ。「体調を整えて、また必ず征矢貴は復活するので、その姿を見せみたいなと思っています」と言葉を絞り出した。
征矢は22歳の17年に、腸などの消化管に炎症を引き起こす原因不明の難病「クローン病」を発症。これは10~20代の若者によく起きる病気で、腹痛や下痢、体重減少などが生じる状態に陥る。その影響で翌年に格闘技を休養。治療に専念し、約2年ぶりの復帰戦となったRIZINデビュー戦の19年6月大会で見事に勝利した。ただ、21年に再びクローン病が再燃。最愛の妻は白血病のため、21歳の若さで亡くなった。さまざまな逆境を乗り越え、昨年4月のRIZINで約3年ぶりに復帰戦を白星で飾った。
征矢は言った。「今回、ああいう結果になってしまったけど、僕はやっぱり、逆境から復活する力を見せたいと思う。僕と同じ病気や、それ以外のことで苦しんでいる人もいると思うけど、僕も体調が良くなったり、悪くなったりと繰り返すので、それでも諦めずにここから、また這い上がっていく姿を見てもらいたい。病気じゃなくても、人生に行き詰まっている人もいるとは思うけど、そういう人にも自分の勝った姿を見せたい」とかみしめた。