プロボクシング元WBA、WBC世界ミニマム級王者で大橋ジムの大橋秀行会長が8日、還暦となる60歳の誕生日を迎えた。同日、横浜市のジムで東京運動記者クラブ・ボクシング分科会有志の要請を受け、報道陣の取材に対応。ジムのトレーナー陣から贈られた特製の赤い還暦ベルトをはじめ、ちゃんちゃんこ、頭巾を着用して写真撮影にも応じた。左手首には4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)から7日にプレゼントされたロレックス製高級腕時計が輝いていた。大橋会長の主な一問一答は次の通り。

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-還暦になった心境は

大橋会長 子供の時、おばあちゃんの赤いちゃんちゃんこの写真を見て、すごく年寄りだなと思ったけれど、自分がそれになってしまったのかと。立派な大人になっていると思ったけれど、いざ自分の頭の中は小学、中学生の時と変わらないというのが発見です(笑い)。「アラ還」が忙しいのは臨むところ。やりがいはある。

-プロ選手生活9年、ジム会長として31年と60年のうち、40年間はボクシング界に携わった

大橋会長 50年で一流と言われる。まだ到達していない。まだまだだと思っている。思い出と言えば、自分が世界王者になったこと、ジムで初めて(元WBC世界スーパーフライ級王者)川嶋勝重が世界王者になったことをはじめ、世界王者は全員。井上尚弥もこれから大きな試合があるし、続くと思う。もっともっと大きなものがあると思う。

-還暦後の新たな目標は

大橋会長 還暦になったこととは関係なく、まだまだやりたいことはある。直近で言えば井上尚弥の防衛戦がある。(WBO世界バンタム級王者)武居由樹の防衛戦、(IBF世界スーパーフェザー級3位)力石政法の世界戦、(WBA世界スーパーライト級1位)平岡アンディ、八王子中屋ジムの(WBO世界ウエルター級3位)佐々木尽の世界戦を全力で動いている。還暦になって、1番の大仕事が待ち構えている。

-25年の目標は

大橋会長 まあ井上尚弥もこれから、大きな動きがある。今年は4試合。すごい戦いがあるし、来年もすごい戦いになるし、連発だね。自分も還暦だけれど、忘れられない1年になると思うし、1番すごい年になりそう。いや…来年の方がすごいかな(笑い)

-選手からの御祝いは

大橋会長 何日か前にトレーナー陣からサプライズのお祝い会があり、昨日もスポンサーの方々の誕生日パーティーがあり、選手にもお祝いされた。井上尚弥からもすごく高い腕時計をいただきました。

-体調には気をつけている

大橋会長 お酒はだいぶ控えるようになったし、食べ物もあんまり大食いしないようにしている。来週には人間ドックに行きます。

-還暦となってボクシング以外の趣味は

大橋会長 ないですかね。周りからはゴルフを勧められたけれど、個人的には面白くなかった。奥さんが同じ年齢でジムの仕事の比重が大きいのですごい休ませてあげたいけれどね。温泉とかも前は行っていたが、今は忙しくできない。同級生は還暦で定年で仕事を辞めて何をしようかと話をしている。自分は子供の時にやりたいと思っていることがやれているので、幸せだと思う。

-井上尚弥の米ラスベガスの試合発表はいつ

大橋会長 近日中、今月中にはある。米国(プロモート大手トップランク社)の発表とはズレがあるかもしれないが。

-井上のラスベガス進出は21年6月以来。前回との違いは

大橋会長 立ち位置が違う。井上尚弥の存在感が違う。前回は無観客試合と入場制限の試合だった。今回はコロナ禍でもないし、絶対的な王者、主役としていく。(階級を超越した最強ボクサーランキング)パウンド・フォー・パウンド1位になった後、初めての米国でもあるので、米国からの対応も前回とはまったく違う。

-70歳までの夢、目標は

大橋会長 夢はもっとボクシングの人気、今も良い状態だけど、爆発させるというか安定的にしたい。一過性ではなくスポーツの底辺も広げたい。さらにキッズボクシングに厚みをもたせ、アマチュアも活躍してもらえれば、自然とプロボクシングも人気が出る。子供もあこがれてボクシングにやってくる。今は井上尚弥にあこがれて、という選手が多くいる。親子であこがれてもらえるような競技に。もっと上のステージにいかせたい。10年後、どこまでいっているのか楽しみにしている。

-井上は世界戦で連続KOの国内記録更新中

大橋会長 世界戦は判定勝利することも大変なのに、KOで勝つというのはありえない。狙ってKOしているのは井上、(WBC世界バンタム級王者)中谷潤人選手ぐらいかな。世界戦KO勝ちに慣れすぎてしまっているよね。世界ランカー同士でKOすることも大変なのに、井上はほとんどKOだからね。流れではなく、狙ってKOしている。過去をさかのぼっても記憶にない。普通は4回戦など実力差がないとできないことだから。

-井上はさらに上の階級でも通用するか

大橋会長 ただ勝つだけなら。井上もテクニックだけで全然、もっと上の階級でもやれる。判定で勝つだけならね。井上が足を使ってディフェンスだけに力を入れたら、なかなか崩せないと思う。足のステップも良いし、ディフェンスも良いので、左ジャブをパパーンと打ったら誰も勝てないと思う。でも、そのスタイルを見たい気持ちと、見たくない気持ちがある。「らしさ」がなくなると思うので、つまらない試合になるかもしれないが、負けないと思う。(終わり)