日本人世界王者による3度目の王座統一戦はWBC世界フライ級王者の寺地拳四朗(33=BMB)が最終回の逆転TKOで制した。WBA同級王者ユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)と壮絶な打ち合い。気迫で勝ったユーリ阿久井を11回終了時点でジャッジ2人が支持。しかし最終ラウンド、寺地が魂の猛ラッシュで1分31秒TKO勝ちした。ライトフライ級に続いて2団体ベルト統一を果たし、3階級制覇も視野に掲げた。

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2人の侍による果たし合いだった。一瞬の油断も隙も許されない“斬り合い”が最終12回まで続いた。

11回を終えて1ポイント差ながらジャッジ2人がユーリ阿久井を支持した。「本当に危なかった」と劣勢を感じた寺地が最後の最後に大勝負に打って出た。ゴングと同時に魂の猛ラッシュ。1分31秒、レフェリーがユーリ阿久井を抱きかかえて試合を止めた。

「ユーリ選手は強かった。最後は気持ちで何とか勝てた。どっちが心折れるかの勝負。僕1人では勝てない。チームのおかげで勝つことができた」

スパーリングでは何度も拳を交えたが、「試合では強いやろなと思っていたけど思った以上だった。打たれても前にくる。そこに圧倒された」。全く下がらないユーリ阿久井の気迫に押された。ラウンド後、コーナーに戻るたびに加藤トレーナーが「下がるな」とハッパをかけた。「何かふわふわしていたけど、トレーナーの声で目が覚めた」とチームの力に感謝した。

今回が世界戦17戦目だった。キャリアではユーリ阿久井を圧倒も「試合と練習はやっぱり違う。ボクシングは難しいと思った」。あらためて奥深さを感じた。 注目されたビッグマッチを制した。井上尚弥(大橋)に続く2階級でのベルト統一も、進みたい道はさらに上を見る。「バム(WBC世界スーパーフライ級王者ジェシー・ロドリゲス=米国=の愛称)とやりたい」と3階級制覇も視野。2階級2冠王者は、さらなる難敵を求めていく。【実藤健一】

◆ラウンドVTR

1回 ユーリは開始から積極的に左ジャブ、右ストレートを決める。手数も多い。寺地は様子見の展開。時おりジャブを出した。ニッカン採点はユーリ10-9

2回 寺地が前に出始めて手数も増える。ユーリは変わらず積極的に左右のパンチ出す。打ち合いの場面も。ニッカン採点は寺地10-9

3回 前半はユーリが右からの連打を決める。寺地も下がらず、後半にボディー攻撃から活路見出す。ニッカン採点はユーリ10-9

4回 寺地がコンパクトなパンチを決める。左ボディー、右のショートアッパー、ワンツーなど多彩な攻撃。ユーリは右ストレートから連打で対抗。ニッカン採点は寺地10-9

5回 寺地が右ストレートを決めると、ユーリも右で反撃。ユーリがボディー攻撃に出ると、寺地もボディー攻撃で対抗。互いに譲らない展開。ニッカン採点は寺地10-9

6回 ユーリがプレッシャーを掛けながら連打を繰り出す。寺地も負けずに頭をつけて打ち合う。両者譲らない展開が続いた。ニッカン採点はユーリ10-9

7回 両者とも開始から足を止めて打ち合う。終盤寺地が左右の連打を決めるも、すぐさまユーリも連打を返した。ニッカン採点は寺地10-9

8回 開始から打ち合いの展開。ユーリが左右の連打を決めると、寺地も連打で対抗した。互いに1歩も譲らない。ニッカン採点はユーリ10-9

9回 寺地が左ジャブを決めながら主導権を取ろうとした。ユーリも負けずに左右の連打を決めた。 ニッカン採点は寺地10-9

10回 寺地の左ジャブのせいか、ユーリの右目付近が腫れる。それでもユーリはひるまず前進し、打ち合いを続ける。両者まったく譲らない。ニッカン採点は寺地10-9

11回 ユーリが右ストレートを決め、何度も寺地の顔をはねあげる。寺地も右ストレート、右ショートアッパーで対抗した。ニッカン採点はユーリ10-9

12回 寺地がラッシュを仕掛ける。コーナーに追い込む。ユーリの足は止まり、クリンチ。その後も寺地は連打を続ける。レフェリーが試合を止める。寺地のTKO勝利。統一王者に。

◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年(平4)1月6日生まれ、京都・城陽市出身。奈良朱雀高→関西大。アマ戦績は58勝(20KO・RSC)16敗。14年8月にプロデビュー。15年12月に日本ライトフライ級王者、16年8月に東洋太平洋同級王座を獲得。17年5月にWBC世界同級王座を獲得し8連続防衛。21年9月、矢吹を相手に初黒星で王座陥落も22年3月の再戦でリベンジ。同年11月、WBAスーパー王者京口との統一戦を制し、2団体王者となる。身長164センチの右ボクサーファイター。「拳四朗」は人気マンガ「北斗の拳」の主人公からで、入場曲もアニメの主題歌だが、本人は「読んだことはないです」。

【ボクシング】寺地拳四朗がユーリ阿久井政悟と王座統一戦、京口紘人は王座挑戦 ライブ速報