プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(33=大橋)が5月2日、東京ドームでWBA、WBC、WBO世界同級1位中谷潤人(28=M・T)との防衛戦に臨む。3月6日の日刊スポーツ創刊80周年企画で井上は、日刊スポーツで評論家を務める所属ジムの大橋秀行会長(60)と師弟初対談に臨んでいた。週末に控える「世紀の一戦」とも言われるビッグマッチに向け、両者の対談の完全版を3回に渡って連載する。今回の上編では2人にとってのスポーツ紙、2年ぶり2度目の東京ドーム興行について語り合った。【取材、構成=藤中栄二、首藤正徳、田口潤】
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◆2人にとってスポーツ紙とは
井上 今、スポーツ紙を1番、触れる時は試合後ですよね。試合翌日に結果が掲載された新聞を手に持ってメディアのみなさんに写真を撮ってもらうタイミングぐらいになっています。これは世代の違いですかね?
大橋会長 自分の現役時代は電車に乗るとみんな新聞を縦長に細く折って読んでいたものだから。
井上 その電車で読む風景は分かります。実家で日刊スポーツを宅配していたので。子供の頃は家にあったものでした。
大橋会長 そうなんだ。自分の現役の時は、いかにスポーツ紙に大きく取り上げてもらえるかを考えていたからね。移動時にも読んでいた。どうやって掲載されているかを気にしてたし。例えば世界戦前の対戦相手のこととかも。当時はネットもないし、情報はスポーツ紙で入手するしかなかった。自分が世界を取るまで、日本人の世界挑戦で連敗が続いていたから、取り上げられることを常に意識していたよね。
井上 今はやっぱり(スマホを見れば)流れているから記事は見ますよ。自分の記事も試合後は読みますし。さすがに全部は見たりしていないですけど。今となっては(批判的な記事も)取り上げられてナンボかなと思っている。
大橋会長 自分の現役の時はテレビのワイドショーで今日のスポーツ紙を取り上げてくれていた時代だったな。
井上 僕が会長の後を継いで(プロモーター業などを)やっていく時、選手育成なども考えると(メディアとの関係も)大事になってくると思っています。
◆5月2日の東京ドームを控えて
井上 2年前、東京ドームで試合をやれるなんて気持ちはなかったので。すごく特別な瞬間でしたし、またやりたいと思いました。1回やってみて、またやりたいと、会長と何となく話していましたね。
大橋会長 そうそう、もう1回ってね。うわさされる(中谷潤人との)試合をやるなら東京ドームで、とだいぶ前から話してきたから。
井上 やっぱり東京ドームでやれるというのは自分1人の力ではダメだと思うし、対戦相手あってのことだと思う。そこは時代を味方にできていると感じますね。自分はよくライバルがいないと言われますけど、東京ドームで試合できるカードを組めるというのは、本当に良い時代だと思っています。
大橋会長 やっぱり自分が現役の時は日本人の世界王者同士が戦うことはできなかったし、本当に無理だったよね。そもそも試合中継してくれるテレビ局が違うので戦えなかった。今は関係ないもんね。(12年6月の)井岡(一翔)-八重樫(東)戦で(大橋ジムの試合中継が)テレビ東京からTBSになった。デビューの時の尚弥はTBSで中継されたんだよね。その後、フジテレビで中継してもらって、今はLeminoやプライムビデオになっているからね。(つづく)

