WBC世界バンタム級4位井岡一翔(37=志成)が日本男子初の世界5階級制覇を逃した。同級王者井上拓真(30=大橋)に挑戦。11年2月、WBA世界ミニマム級王座獲得を皮切りにWBC世界フライ級王座、WBO世界スーパーフライ級王座獲得を経て15年3カ月かけて狙った5階級目の世界王座だったものの、手は届かなかった。

25年5月、WBA世界スーパーフライ級王者だったフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に連敗を喫した。世界王座返り咲きに失敗した井岡は、同年10月の所属ジム興行のリング上でバンタム級転向を表明していた。日本男子初の5階級制覇を目指すと宣言し、昨年大みそかには、同級11位マイケル・オールドスゴイティ(ベネズエラ)との同級転向初戦で4回KO勝利を挙げた。

同級転向初戦をリングサイドで視察していた井上に向け、井岡は「井上拓真選手とぜひ試合がしたい。来年5月に井上尚弥選手と中谷潤人選手が東京ドームで試合をすると聞いているので、そこで自分も一緒に盛り上げたい。バンタム級で必ず世界王者になる」と猛アピール。その熱意が井上陣営に伝わり、東京ドームという大舞台での5階級制覇挑戦が決まった。自ら切り開いたカードだった。

井岡は「思い描いていた舞台が整った。戦えることを感謝しているし、素直にキャリアの中でもこういう舞台に出る選手は多くないと思うのでとてもうれしい気持ち」と高揚感を胸に初めてとなる東京ドームのリングに立った。バンタム級転向を契機に初めて本格的なフィジカルトレーニングを導入。世界戦前は恒例だった米ラスベガス合宿を回避し、肉体づくりと実戦練習を並行するために国内調整に専念した。プロ入り後から師事する米在住のキューバ人トレーナー、イスマエル・サラス氏とはオンラインで連絡を取り合った。

「レジェンド」と呼ばれる存在でも、危機感はあった。マルティネス戦で連敗を喫した後には「表現は難しいが、追い詰められている感覚だった。選択肢があるようでない」とも口にしていた。現役続行のためにもバンタム級挑戦を決断した経緯もあった。

井岡は「盛り上がっている階級。自分が階級を上げることでより面白いことが起こる。(日本人対決も)挑戦する立場なので挑戦できるなら」と前向きだったが、那須川天心にプロ初黒星をつけた井上の壁は高く、厚かった。今年3月で37歳を迎えた。現役生活の岐路に立たされたことは間違いない。

◆井岡一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日、大阪・堺市生まれ。興国高で史上3人目の高校6冠を達成。東農大2年中退で09年プロデビュー。11年に当時日本最速7戦目でWBC世界ミニマム級王座、12年にWBA世界ライトフライ級、15年に18戦目の当時世界最速でWBA世界フライ級王座獲得。17年に1度引退も18年に復帰。19年6月に再挑戦でWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、日本男子初の4階級制覇を達成。23年2月にWBO世界同級王座を返上し、24年7月にWBA世界同級王座を獲得。23年7月に同王座から陥落。163センチの右ボクサーファイター。家族は夫人と2男。

【ライブ速報詳細】王者井上拓真が元4階級王者井岡一翔と初防衛戦 WBC世界バンタム級