思いは土俵の上で-。大相撲の名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)で綱とりに挑む大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が30日、都内の部屋で稽古を再開した。最初の1週間は四股やすり足など基本運動で体をつくる考え。30代最初の場所に向けて「体は元気だし、これから力もついてくる。楽しみです」と笑った。

 2場所連続の13勝を挙げながら、初優勝に届かなかった。何が足りないのか。横綱白鵬からは「日ごろの行い、日ごろの考え方。相撲だけ努力してもダメ」と、土俵外での意識を磨くように手厳しく指摘された。

 耳にしたこの言葉への思いは、グッとのみ込んだ。「自分は力士として生きているから、土俵の上でしか表現できない。結果を残していないから。結果を残して、しっかりやることが自分の使命」。結果が出ていない以上、何も言えない。

 だからこそ、綱とり以上に優勝への思いを強めた。「本当に優勝もできていない。優勝を争う中でのプレッシャーがあって、そこで勝つこともそうだし、相撲も緊張度も変わってくる中で勝つことも経験していない。大事だと思う」。勝負どころでの強さ。その力を蓄えていく。【今村健人】

<夏場所での白鵬の指摘>

 ◆13日目 全勝対決で、わざと相手得意の左四つに組んで勝利。「今日の一番は『勝っていいんだよ』という感じだったんだけど、勝たなかったからね。何かが足りないんだろうね。強い人が大関になる。宿命のある人が横綱になる。横綱白鵬を倒すのは日ごろの行いがよくなければ。それしか思いつかない、今は」。

 ◆一夜明け会見 稀勢の里に足りないものは「日ごろの行い、日ごろの考え方」と指摘。「例えば、ひよの山の歌。力士会でみんな歌ってたでしょ? 彼は手を帯にして立ってただけ。相撲が好きかもしれないけど、そういう考えがいかがなものかと。そういうところから直していかないと。相撲の神様はいますから」「例えば白鵬杯に顔を出す。自分の地元から子どもたちが来て、相撲のアドバイスするとか。そういう細かいことだと思います」。