左上腕付近の負傷のため、5月の大相撲夏場所を途中休場した横綱稀勢の里は6日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋での朝稽古後、名古屋場所(7月9日初日・愛知県体育館)に向け「やれることをやる。少しずつ」と話し、慎重に調整していく意向を示した。

 5日に稽古を再開し、ゴムチューブを使っての運動など患部のトレーニングに時間を割いている。6日は夏場所でほとんど繰り出せなかった武器の左おっつけを、三段目力士に対して試した。ただ時折、表情をゆがめて「あー」と声を発する場面もあるなど万全ではなく、懸命に試行錯誤を重ねている。

 夏場所後の横綱審議委員会では、負傷が完治しなければ名古屋場所の休場を勧める意見が出た。稀勢の里は「一日一日を大事にして過ごしたい」と述べており、地道に鍛える日々だ。

 同部屋の新大関高安は黙々と汗を流す兄弟子の姿に「横綱というのは自分のためだけにやっているものではないということがよく分かった」と感想を口にした。