優勝争いのトップを走る大関豪栄道(31=境川)が執念で連敗を2で止め、11勝3敗とし、昨年秋場所以来2度目の優勝に王手をかけた。

 平幕の貴ノ岩との一番は、立ち合いで2度待ったがかかった。嫌なムードの中、3度目で立ち、一瞬引きかけたが思いとどまり、前に出た。突き押しの応酬の中で2度はたきこまれかけたが、何とか踏ん張り、最後は渡し込みで決めた。「集中してやろうと…。(3度目の立ち合いは)必死でした。(踏み込みは)昨日、一昨日より良かった」。支度部屋で激しく乱れたまげを直してもらいながら、真っ赤な顔で振り返った。

 松鳳山、貴景勝と平幕相手の2連敗で王手をかけ損ねた。「自分で何をやってるんかまったく分からんかった」。優勝争いのトップを走るプレッシャーで攻めの姿勢を忘れ、残り2日で5敗までの16力士に優勝の可能性が残る大混戦を招いた。しかし、土壇場で開き直り、優勝の行方を千秋楽の横綱日馬富士戦のみに持ち込んだ。最高の舞台を作り「幸せなことだと思う」とうなずき「最後の一番に思い切っていくだけです。最後は勝った方が強い訳やから」。3横綱2大関が休場する“大荒れの秋”を、こん身の相撲で締めくくる。