大相撲の平幕貴ノ岩に暴行した横綱日馬富士が現役引退を決めたことに、両力士の母国モンゴルでは29日、衝撃と落胆が広がった。モンゴル出身の元小結旭鷲山、ダバー・バトバヤル氏は首都ウランバートルで記者団の取材に応じ「自ら退く判断をしたのは男らしい」としつつも「残念。相撲を取ってほしかった」と沈痛な様子で話した。

 日馬富士が10代だったころに才能を見いだし、日本に送り出したというバトバヤル氏は「まだ若い。最低あと5回は優勝できるはずだった」と無念さをにじませた。モンゴル出身力士の先輩として2人の和解に向け27日まで日本を訪問したが「本場所が始まる前ならなんとかなったかもしれないが、ここまで(問題が)大きくなるとは思っていなかった」と話した。

 日馬富士の今後については「日本国籍を取得し、日本相撲協会に残って親方として弟子を育ててほしい」と訴えた。

 横綱白鵬の母親タミルさんも「非常に残念」と落胆。「貴ノ岩は相撲ができる状態という診断が出ていたと聞くが、なぜこういう結果になったのか」と話し、引退決断に違和感を示した。