横綱白鵬(32=宮城野)が窮地に立たされた。結びの一番で東前頭2枚目嘉風にはたき込まれ、07年名古屋場所での横綱昇進後初となる2日連続の金星配給。4日目までに2敗は3度目で過去2度は翌日に休場している。支度部屋では古傷の左足親指をアイシングし、休場をにおわせる発言をした。元日馬富士関の暴行問題を巡り、減給処分を受け、横綱審議委員会に指摘された取り口の改善を意識する場所でピンチを迎えた。

 支度部屋に戻り風呂から上がった白鵬は突然、左足甲をアイシングし始めた。そして、支度部屋から駐車場までを付け人の肩を借りながら歩いた。「06年にやったところだから」。06年の九州場所前に剥離骨折した左足親指を再び痛めたという。異常事態が白鵬を襲っている。

 昨年九州場所11日目の結びの一番。嘉風に負けた白鵬は立ち合い不成立をアピールする前代未聞の不服の態度を示し、審判部から厳重注意を受けていた。くしくもこの日も、結びの一番で相手は同じ嘉風。立ち合いで左のど輪が上滑りすると、突き押しをもらい後退。体勢を崩してはたかれ、自身初の2日連続金星配給となった。

 今場所は、昨年12月の横綱審議委員会で苦言を呈された張り手やかち上げを“封印”し、立ち合いで苦戦している。その立ち合いについて聞かれるも「狙いどうこうもない。良いとこがない」と投げやりに答えた。加えて先場所の嫌な雰囲気。影響については「どうだろうね」ととぼけたが、ないわけはなかった。

 4日目までに2敗を喫したのも、横綱に昇進してからは3度目の異常事態。明日も土俵に立つのか、と問われると「まぁね。いろいろやれることをやるしかない」と前向きな姿勢を見せたが「やってみないと分からない」と最後は言葉を濁した。

 元横綱日馬富士関の暴行事件の現場にいたとして1月は給料全額不支給、2月は50%カットの減俸処分を受けた。さらに、同部屋所属の立行司、式守伊之助のセクハラ行為発覚など、土俵外でも騒がしい日々が続いてきた。常々、心と体のバランスを重要視してきた白鵬が「多少ズレもある」と吐露した。横綱昇進後、4日目までに2敗を喫した過去2回は休場している。気力も体力も限界が来ている。【佐々木隆史】