関脇御嶽海(25=出羽海)が西前頭筆頭琴奨菊を寄り切った。初日からの無傷7連勝は初場所以来、自己最長タイで、優勝争いの単独首位を守った。前夜は、好物のうなぎを食べてエネルギーを蓄えた。3横綱に加えて新大関栃ノ心までもが休場した主役不在の場所を、初優勝に向けて引っ張っている。

 狙った右差しが外れても、御嶽海は動じなかった。右上手を取り、相手十分の左四つになって土俵中央で止まった。だが寄ったのは御嶽海。右上手をがっちりと引き、大関経験者を力ずくで寄り切った。立ち合いこそ狙い通りではなかったが「前に出られたのに変わりはない。攻め続けることが大事」と勝因を分析した。

 上位陣が休場する中、元気な相撲で単独トップに立っている。今場所「先に体が動いている」と調子がいいのは、好物のうなぎのおかげだ。場所前からすでに5回ほど食べたといい、昨日に限っては朝、昼と2回も食べた。米は少なめで丼にはせず、うなぎと別々で食べるのがこだわりだとか。「うなぎのおかげですね」と名古屋名物で猛暑を乗り切っている。

 まずは今日、自身初の中日勝ち越しを目指す。そうすれば自然と優勝もちらつくはずだが、その意識を問われても「なし」と一刀両断。上位陣の中で唯一、安定している相撲を取る期待のホープに自然と注目されるが「じっくりいく」とかわした。主役不在となった今場所でじっくりではなく、うなぎ上りで一気に優勝を狙う。【佐々木隆史】