関脇経験者で西幕下7枚目の豊ノ島(35=時津風)が、3勝2敗で迎えた今場所の6番相撲に登場した。十両経験者で東幕下12枚目の栃飛龍(31=春日野)を寄り切りで破り、3場所連続の勝ち越しを決めた。

 立ち合いで左に変化気味に体を開かれ、押し込んだ向正面では、いなされて体がグラリと泳ぎ一瞬、横向きに。「もちろん頭にはあったけど焦った。分かっていても(いなしを)食っちゃう時は食っちゃう」と冷や汗をかいたが、すぐに向き直ると再び攻勢に。横に食らいつき左を深く取り、右もおっつけながらのぞかせて攻め立てた。「あの形になれば幕内でも勝てる自信はある」という十分な体勢で正面土俵に寄り切った。

 ヒヤリとさせる場面もあったが「終始、自分の攻めで中に入れた。(攻めきれなかった場面は)向こうが残すタイミングと(自分の)力が抜けるタイミングが一緒になってしまった。“いやいや出ろよ”と。その後は、しっかり慌てずに取れた」と振り返った。

 7戦全勝なら関取復帰だった今場所の目標は、2番相撲で敗れて絶望的に。その後は、来場所の幕下5枚目以内確保のために、5勝を目標に切り替えた。残り1番に勝って、その下方修正した目標値に到達したいところだ。

 もっとも、その5勝で終えれば番付運次第で再十両という、一抹の可能性はある。十両からの陥落力士数、幕下上位の勝ち越し力士との兼ね合いによるが、周囲の勝手な期待にも、そこに頼る姿勢は本人にはない。「上がろうが上がるまいが、しっかり(最後の7番相撲を)やって勝つこと。結果として、そうなるかならないかだけ」と目の前の一番に集中する。