今月引退した元前頭貴ノ岩の暴力問題などの不祥事に、元貴乃花親方の退職と、世間を騒がせ続けた2018年の大相撲。土俵では栃ノ心、御嶽海、貴景勝と3人も初優勝力士が誕生した。今年1年間、幕内を務めた力士が対象の連載「第7回日刊スポーツ大相撲大賞」では、そんな陰で生まれた好記録や珍記録を表彰する。

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隠岐の海(33=八角)が「最優秀投手賞」を受賞した。今年6場所で挙げた44勝のうち、13勝が投げ技での白星。横綱白鵬と並んで最多だった。昨年は6場所すべて幕内に在籍した力士の中で、最も番付が上下した「ビッグウエーブ賞」を獲得。2年連続の受賞となった。「今年は追い込まれてからの投げで勝った取組が多かったかなあ」。11勝を挙げた九州場所では土俵際での逆転の投げが多かったためか、自虐的に振り返った。

しかし、投げ技で勝利した13番を見返すと、ほとんどの取組で四つに組んで主導権を握っている。左差しから長いリーチを生かして右上手でまわしをつかみ、豪快に相手を転がしていた。「あまり記憶はないけど…賞をもらうのは何だかんだうれしい」。時間をかけて喜びをかみしめた。

33歳のベテラン。若手の頃に比べ、体力の低下を実感している。冬巡業のとある日、小結貴景勝らを横目に「彼らはまだまだ元気ですよ。おじさんは、ゆっくり仕上げていきます」と不敵な笑み。初場所で幕内では自身最多となる、4場所連続の勝ち越しを目指す。【佐藤礼征】