1月の初場所で初優勝した玉鷲(34=片男波)が、貴景勝との関脇対決を制して連敗を3で止めた。ともに得意の突き、押しで1歩も引かない展開で、意地の押し出し。2勝3敗とした。

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最近2場所の優勝者、それも押し相撲同士の一番は見応えのある、いい相撲だった。勝った玉鷲も負けた貴景勝も「押しなら負けない」という意地が見えた。そんな中で気になるのは貴景勝だ。ここ2場所の当たりの強さが少し、影を潜めているように見える。同じ押し相撲の御嶽海と玉鷲に負けたということは、自分の流れになっていないということ。さらに言えば先場所までのいなし、はたきは流れの中で1度、相手の動きを止めるものだったが、今場所は苦し紛れのように見える。悪戦苦闘しながらつかみ取るのが大関だが、少し安全にというか、慎重になっているのかもしれない。残りは10日。大事なのは先を見ないこと。今場所2度目の試練を与えられた貴景勝に必要なのは、一晩たったらその日の一番だけを考えること。その切り替えはうまいタイプだと思う。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)