ケガや内臓疾患のため、4場所連続全休し大関から西序二段48枚目まで番付を落とした照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、無傷の3連勝とした。

相手は11年5月の技量審査場所で初土俵を踏んだ同期生の栄富士(26=境川)で、220キロを超す重量力士。立ち合いは頭でぶつかり、圧力をかけると右がスパッと入った。左も入れる万全のもろ差し。慎重に歩を進め、危なげなく寄り切った。

2日前の2番相撲で当たった天風(尾車)も、相撲部屋体験入門で世話になった190キロ超の幕内経験者。「(この日の栄富士は)教習所とかで一緒だった。(天風も因縁のある相手で)そんな相手とばかりだね。しかも体の大きいのばかり」と少々、ボヤきながらも徐々に不安を取り除く3連勝に表情も、少しばかり和んだ。

稽古場では、若い衆のぶつかりに軽く胸を合わす程度。5場所ぶりに戻った本場所の土俵は「やっぱり稽古場とは全く違う」。土俵に上がる前に考える余裕などなく「真剣に一生懸命、やっているだけ。(ここまで)やってきたトレーニングと治療を信じてやるだけです」と緊張の糸を緩めるそぶりは見せない。

場所が始まる3週間前ぐらいから本格的な筋トレを始めたという。それまでの約1年半は「散歩とか腕立て伏せぐらいで、ほとんど体を動かせなかった」という。ベンチプレス200キロの全盛時から再開時は80キロまで落ちたが、場所前に何とか160キロ後半まで戻ったという。

「やり始めれば戻るのは早い。幕内に上がった場所も、蜂窩(ほうか)織炎で初日朝まで入院して、何も稽古してない状態で9勝とかしたので(新入幕時のことなら8勝)」と、ぶっつけ本番には強い性格を自己分析した。大関に上がるまでの、稽古の貯金も心の支えだ。不安は残るが、勝ち越しに王手をかけ、場所はあと4番を残すのみ。不安を振り払う土俵が続く。