大相撲夏場所で初優勝した前頭朝乃山(25=高砂)が、約2週間ぶりに相撲を取る稽古を再開した。

8日、茨城・下妻市で始まった部屋の茨城合宿初日に参加。三段目力士2人と計10番取って全勝で、いずれも危なげなく寄り切り貫禄を見せた。今後は16日に出身の富山市で、18日には母校の近大で、それぞれ優勝パレードが控えるなど多忙を極めるだけに「動ける時に動こうと思って」と、夏場所千秋楽の5月26日以来、相撲を取った。

当初は12日から富山・射水市に場所を移して行われる、部屋の富山合宿から相撲を取る計画を立てていた。だが初優勝に故郷や母校が沸くなど、当初の想像以上にスケジュールが詰まっているのが実情。この日の合宿も、部屋関係者によると、例年よりも大幅に増えたという約400人の地元市民が駆けつけた。申し合いのトリで土俵に上がると、大きな歓声があがった。稽古後は、地域の子どもとの交流に名乗り出て土俵で胸を出したり、約30分にもわたって写真やサインに応じたりと、休む間がない状態でも持ち前のサービス精神を発揮していた。

稽古後の地元市民の人垣が大きくなりすぎ、付け人の三段目朝鬼神は、土俵が屋外とあって「蚊が多いので、そろそろ終わりにしたいと思います」と、苦しい? 理由で即席撮影会の早期切り上げを図ったが、時の人を目の前にした大勢の市民には効果なし。それでも朝乃山は「ありがたいことですから。今はできるだけ、体がなまらないようにしないと。本格的な稽古は番付発表後から」と、うれしい悲鳴を上げていた。名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付が発表される今月24日以降の本格再始動へ、筋力低下や相撲勘の衰えを懸念しつつ、焦りを見せなかった。茨城合宿は9日まで行われる。