大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の番付編成会議で新十両昇進を決めた琴手計改め琴勝峰(20)が25日午後、千葉・松戸市にある佐渡ケ嶽部屋で、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)同席の元、晴れの昇進会見に臨んだ。

高校相撲の強豪・埼玉栄3年時の17年九州場所で初土俵。同高同学年で元横綱大鵬の孫にあたり幕下上位の納谷(大嶽)や塚原(春日野)、三段目の土佐栄山(阿武松)とともにライバルの出世争いを演じ、先んじて関取の座を射止めた。所要丸2年の12場所で新十両昇進を決めたが「全然、実感がわきません」と話した。昇進の一報を電話で知らせてくれた師匠からは「まだまだ上は、たくさんあるから進んでいかなければいけない」と言われたという。前述の納谷らはもちろん、やはり新十両昇進を決めた豊昇龍(立浪、日体大柏高卒)も同学年。彼らをライバル視していたかについては「そんな気持ちにはならなかった。自分は自分。ちゃんと稽古していれば番付は上がると思っていたので(ライバル)意識はない。刺激にはなるけど、自分でやることはやろうと思っていた」と話したが、師匠は全く逆で「私は気にしていました。必ず1番で(十両に)上げてやろうと思っていました。(ライバルたちの)相撲も見ていました。絶対に1番で上げてやろうと。それがかなって良かった」と、あまり喜びを表に出さない弟子とは対照的に、満面に笑みを浮かべた。

190センチ、160キロの恵まれた体を武器に、基本的には突き、押し。組んでも右四つから馬力を生かして前に出る相撲が身上だ。本名は手計富士紀。昇進を機に、しこ名を「琴手計富士紀(ことてばかり・としき)」から「琴勝峰吉成(ことしょうほう・よしなり)」に改名した。相撲を始めた幼稚園時代から「誇りに思って見ていてくれた」父方の祖母で、琴勝峰が小学5年時に他界した矣矩子(いくこ)さんの戒名から「勝」の1文字をもらい、「峰」は「てっぺんを目指すように」と加えた。さらに下の「吉成」は師匠の知人から「勝峰」の字画に合った名前として命名されたという。精神面も含め、目指す力士像に大関経験のある琴奨菊を挙げる。「しこ名の通り、てっぺんを目指してほしい。(横綱? の問いに)そこしかない」と期待を寄せる師匠を横に「押しても四つでも、とにかく前に出る相撲に磨きをかけたい」と抱負を語った。