日本相撲協会は25日、都内のホテルで臨時理事会を開き、今月8日に後輩の呼び出し2人に暴力を振るった、立呼び出しの拓郎(63=春日野)を、委嘱していたコンプライアンス委員会からの答申通り、出場停止2場所とすることを決議した。理事会の途中で拓郎を招き入れ、本人に通達。拓郎は「相撲協会に大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません」などと、理事らに謝罪したという。すでに15日に退職届を提出していた拓郎は退職の意思が固く、この日付で退職届を受理したことも発表された。呼び出しトップの拓郎の退職により、立呼び出しは不在となった。

今回の暴力は、新潟・糸魚川市での巡業中の午前7時ごろ、客席のいすに座って食事をしていた序二段の呼び出しに対し、拓郎が「こんなところで食事をするな。お客さんの座るところだろ」などと注意し、頭部を拳で1回殴ったのが発端だった。さらに、近くにいた幕下呼び出しに対し「お前、兄弟子なんだから、ちゃんと見てやらんかい」と言いながら、背中を1回たたいた。背中をたたいた際は平手だったと付け加えられたが、暴力の詳細については、従来の発表と大きくことなることはなかった。

理事の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「(付け人への2度の暴力で引退した元十両の)貴ノ富士のことがあったばかりで、協会をあげて暴力と決別しようという中、呼び出しトップがそういう指導をしたのは重い」と、処分について説明した。相撲協会は今後、コンプライアンス委員会から答申される再発防止の強化策を参考に、年内にあらためて理事会を開催し、強化策を取りまとめるとしている。