前日2日目の取組で脳振とうを起こしたと判断されて同体取り直しの一番を取れず、不戦敗となった東十両5枚目炎鵬(26=宮城野)が3日目も土俵に上がり、貴健斗に敗れて1勝2敗となった。

相手の懐へ何度も飛び込んだが、突っ張られて苦しい展開となり、最後は突き落とされた。

炎鵬は2日目の貴源治戦で、立ち合いから何発もアッパー気味の突っ張りを顔面に受けた。土俵際でこらえて勢い余った貴源治が土俵を割り、炎鵬も土俵下に落下。軍配は炎鵬に上がるも、物言いがつき協議した結果、同体取り直しとなった。しかし、もうろうとする炎鵬の様子を見た審判員らが再び協議し、脳振とうにより取組が不可能と判断して炎鵬を不戦敗にしていた。

日本相撲協会は1月の初場所後に審判規則を一部変更し「審判委員は、力士の立ち合いが成立する前に、相撲が取れる状態ではないと認めた場合には、協議の上で当該力士を不戦敗とすることができる」との項目を追加していた。夏場所では序二段で同規則が適用される取組があったが、十両以上の取組では前日2日目の炎鵬-貴源治で初めて適用された。

初めての経験に、炎鵬は「負ける以上に悔しかった。(気持ちを)整理するのに時間がかかったが、ルールなら仕方ない。ああいう相撲を取った自分が悪い」と受け止めた。

体調が心配されたが、出場への迷いは「一切なかった」という。「いろんな思いがある中で、土俵に上がるってことがまず第一なので。土俵に上がれて良かったです」。

兄弟子の横綱白鵬は、進退を懸けて土俵に上がっている。炎鵬は関取の立場にあるが、今場所は初日から志願して横綱の付け人につく。「横綱の背中を見て自分もここまできたので、あとは横綱を信じてついていくだけ」と意気込んだ。