優勝争いで単独トップを走っていた関脇御嶽海(29=出羽海)に、ついに土が付いた。同じ押し相撲の北勝富士(29=八角)が、左のおっつけから迷いなく足を進め、押し出しで快勝。全勝力士がいなくなった。

「今日は北勝富士を褒めてやってよ」。報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も、愛弟子の殊勲星に相好を崩したようだ。取組前には、同じ押し相撲相手に御嶽海は取りにくいか? と問われ「そうでもないでしょう。いつも(北勝富士に)馬力勝ちしている。いなされないように(気をつけること)」と御嶽海優位を推測していた。ところが、ふたを開ければ非の打ちどころのない快勝劇。「会心の相撲だね。おっつけた後、足を1歩ずつグッと出したのが良かった」と分析し、負けた御嶽海の胸中を察するように「あんなにいっぺんに力を出して出てくるとは思わなかったんじゃないかな。右を差しに行きながら押し上げようとしたら、いっぺんに出られた」と話した。そして快勝した愛弟子に「今日は北勝富士を褒めてやってよ。左からおっつけてはくるけど、いっぺんに出るタイプではないからね」と御嶽海が感じた驚きを共有するかのように? 見違えるような相撲内容を褒めた。

今場所初めて土が付いた御嶽海については「明日からでしょう」と立て直しに期待。「あれだけ完璧に負ければ開き直れるでしょう。(この日は)様子を見ようと安全に行って、力を出されて失敗した。明日(11日目)は力を出し切ろう、と思うんじゃないかな」と、御嶽海の課題とされる精神的な立て直しを期待した。