大相撲の元関脇魁聖の友綱親方が31日、東京・両国国技館で、現役引退会見を行った。友綱親方は「最近ずっと番付が落ちてきたし、ケガもあって稽古も出来なくて。先場所負け越した時に師匠と話して(引退を)決めました」と引退にいたった経緯を明かした。

東十両11枚目で臨んだ7月の名古屋場所は9日目に負け越しが決まり、5勝10敗で終えた。そして、29日の秋場所(9月11日初日、両国国技館)新番付発表で東幕下筆頭になったのを確認し、引退を決断。秋場所で勝ち越せば十両復帰の番付だったが「他の力士には申し訳ないけど、黒まわしを着けるのが恥ずかしかった」。12年間守り続けた関取の座から陥落したことで未練はなく、同日に現役引退、年寄「友綱」を襲名した。

06年秋場所で初土俵を踏み、16年間の土俵人生。金星獲得こそなかったが、2度の優勝次点に3度敢闘賞を受賞するなど実績を残した。思い出の一番は、18年名古屋場所10日目の結びの大関高安戦。「結びは何回もあるけど、結びで勝つことはなかなかなかった。(勝った時の)お客さんの雰囲気が全然違かった」と懐古。東前頭4枚目だった当時、大関高安を小手投げで破った時の興奮は今も忘れられない。

実力はもちろん、ブラジル出身のイケメンで優しい性格の一面もあり、ファンからの人気も高かった。「ファンがいないと自分だけで相撲が取るのは厳しい。それが全てじゃないですか」とファンを大切にしている。今後は大島部屋の部屋付き親方として後進の指導に当たる。抱負を問われると「相撲だけではなくて生活のことも教えたい。強くなるのが一番だけど、ファンに対して感謝の気持ちを伝えることも大事」と友綱親方らしい言葉を並べた。